オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

セッターは要

 バレーボール全日本男子が意地を見せた(6/7)。

 オーストラリアにストレート勝ち。オリンピックに向け、首の皮一枚が繋がっている状況だ。大変厳しいことに変わりはない。

 何と言っても、中国に負けた事が致命的。

 優勝はセルビアで決まりとすると、アジア一番が必要条件。そうなると中国に負ける訳にはいかなかった。サーブも修正し、レシーブも良く上げていたので勝てない試合ではなかった。

 決め手に欠いた、ということになるが、この表現は不明確だ。

 女子チームでいう「木村がもう少し決めていれば」と同じ。あまり言っている事に意味がない。

 要するに総合力で及ばなかったということ。だれかの責任にはしづらい。福澤の当たりが今ひとつだったのは事実。

 ここで、セッターの宇佐見が欠場を余儀なくされたことをあげる人もいるようだ。

 練習中に中国選手が打ったスパイクが顔に当たり、目を負傷したとのこと。

 柳本前監督が「あれはわざとだ」というような趣旨の発言をされたらしいが、さすがにそれはないのではないか。

 ありえないトラブルだからこそ、わざとだ、といいたいのであろうが、私は逆に何かの事情で突発的に発生したものと思いたい。

 YouTubeにバレーボールのスパイク練習の映像があったので紹介しておきたい。

    ↓

http://www.youtube.com/watch?v=O9YCCimvzdQ&feature=related

 

 これを見てもらえば分かるように、両チームがネットを隔てて整然とスパイクを打っている。

 普通、スパイク練習にはブロックはつかない(調整だから)。

 だから大概はストレートに打つ。クロスに打つ場合もあるが、並んでいる相手側のスパイカーに当たるといけないので、そんなに角度はもたせないものだ。

 ましてや、インナーに打つバカは絶対にいない。

 クロスに打つだけでマナー違反であり、下手をするとお互いの報復合戦になり、練習が成り立たなくなる。

 スパイカーがよく怪我をする原因の一つが、打ったあとの着地で、ボールを踏むこと(ボールの上に着地したとき)。足を間違いなく捻挫するので、スパイカーのそばにボールを転がすのは絶対だめで、バレーボールをやる人達がもっとも注意を払うことである。

 こう考えると、あのトラブルは故意でやった場合は、とんでもない事件であり、常軌を逸した行為と見なされる。もはやスポーツではない。

 それ以前の問題であり、相手は原始人と同じである。

 ネットを挟んで、一定のルールのもとでゲームなんかする必要も価値もないということになる。

 やはり、故意であるとは考えにくい。

 そこまでやらんでしょう。

 余計なことだが、もし故意に相手選手をねらうのであれば、相応のリスクを覚悟して、最大効果のある清水か福澤を狙うね。中国側の謝罪と釈明があれば、変な噂も納まるんだけどね。

 

 しかし、宇佐見が欠場したため、コンビネーションがうまく取れなかった可能性はある。

 やっぱり、いつもあげてくれているセッターのボールの方が打ちやすいからね。

 宇佐見が超一流のセッターであることは間違いないし、全日本の攻撃の大前提だからね。

 スローモーションが流れた時に、彼のトスをよーく見てもらいたい。

 ボールが殆ど回転していない。

 竹下さんもうまいが、宇佐見はそれの上をいく上手さだ。

 相手のブロックを外すのも上手い。ブロックを外すのって、セッターの役割なんだよ。

 ノーブロックなった時のスパイクを拾う事はまず不可能。

 100%決まる。

 バレーボールは如何に相手のブロックを外すかが勝負の分かれ目になる。

 よく、知ったかぶりのO倉(とくだね)が「自分たちの試合をすれば勝てますよ」というが、それが出来れば皆勝てる。

 「自分たちの試合」の具体形の一つが、相手のブロックをすり抜けてスパイクを打つ事であり、そのためのサインプレーになる。当たり前だが、サーブレシーブがしっかりとセッターに返らないと、サインプレーは成立しない。

 乱れたサーブレシーブの結果、殆どのトスは、エースのいる方向にあがる。トスのあがる方向がわかっていれば、間違いなくブロックがつき、オリンピッククラスのチームが相手であれば、ほぼ100%ブロックされる。

 こればかりは誰が打ってもダメ。

 というわけで、バレーボールにおいてセッターが繰り出す戦術は目に見えづらいが極めて重要である。

 セッターはいつも相手チームの陣形に目を配り、どのスパイカーがマークされているかを見ながら攻撃の種類、打撃場所を考えてコートを走り回っている。

 TVではなかなか分からないが、彼らの動き・戦略を想像しながら、ゲームを見るのも、またバレーボールのおもしろさの一つだ。