フジTVのお粗末な政治番組の始末
フジTV「スーパータイム」に総理が出演していた。宰相がTVに、それも国営ではなく民放に出演することは珍しい。
祝日の夕方時間帯である。
通常の国会中継の10倍は大げさであるが、3〜4倍の国民が見ていると思っても良いだろう。彼からすると、日頃の情報発信の不足(不備・不作為)を埋める良い機会だ。
それにしても、フジTVは番組の編成会議にどれほどの時間と準備をかけたのであろうか。放送局・マスコミとしての真価が当然問われる注目の番組であったが、揃いも揃ってこの方達は何をアホな質問をしているのだろう。「〜地区の方は不安に思っています。総理から一言お願い致します」。
「?」
こういう質問されたら、政治家は100%こう答える。
「しっかりと考えています。国家の大計を踏まえて判断しますのでお任せ下さい」と。
今言った事は、「うるさい。黙ってろ」という返答を丁寧な意味不明の言葉で飾っただけだ。誰も、傷つかないし、何の責任も発生していない。つまり、質問の意味が全く何もないということだ。
判断の前提、基準線、変更要件、退ける限界、捨て駒(条件)、絶対防衛圏、これを国の最高責任者に問うのが報道機関ではないのか?
何でも良いから、どこそこの地方の利害関係者に何か言え、と問い続けるこの放送局は時間と金と知恵を無駄使いしていた。
国会の予算委員会も茶番と化しているが、それよりも10倍答弁が楽勝のTV報道番組ってあっていいのか?
総理は番組中、よく居眠りしなかったものだ。
マスコミは、この程度の退屈な質問しかできないと理解したら、総理は今後、どんどんTV出演して、一方的に自分の伝えたい事ばかり垂れ流す事になるだろう。分かってはいたが、フジTVの怠慢は私の予想を遥かに超越していた。
少なくとも、局アナは最低限の学歴と知性と批判精神を有していると思っていたが、子供の使いも果たせない事がよく分かった。
しかし、本当に参った。
日本人はロジカルシンキングやディベート能力に不足すると言われて久しいが、今日の番組を見て奈落の底まで突き落とされた気分だ。
マスコミに多くは求めない。
せめて、議論する時にはイシューをはっきりさせてくれ。
感想を聞くな。方針を聞け。
決意ではなく、決断の基準を聞け。判断基準だ。
どのような価値判断基準を持っているかを聞け。
さもなければ、聞く事の意味がないじゃないか。
全く何の中身もない総理出演番組を平然と作り得意になっているフジTVと、木村・安藤両キャスターを心から軽蔑する。あのような内容で、報道マンとしての充実感・達成感があるのか?
今日の番組を見て、国民から不満が出ないのであれば、大衆の期待感の低さの現状に政府は恐怖を持つべきだ。
フジTVの報道局は、少なくとも私よりも楽観的に将来をみている。あるいは、アナーキーの集団だ。マスコミとして危険な態度である。
とにかく参った・・・