メジャーリーグとは、”大リーグ”ではなく”大人のリーグ”の事だった
今日、マリナーズのイチローがNYヤンキースにトレードされたというニュースが飛び込んで来た。やっぱり、驚いた。
オーナーは来年も契約するつもりだと言ってなかったか?
確かにピークが過ぎた選手かもしれない。
期待未満の結果しか出していないかもしれない。
打率は3割を切ったまま夏を迎えている。彼らしくない成績だ。それにしても、2割6分の打率は、最下位のチームに相応しい(失礼)、ほどほどの悪くない、良すぎる事もない成績だ。別にこれに文句がある訳ではなかろう(あるか?)。
理由は、すでに色々と美しく報道されている。どこまでが本当かに、あまり興味はない。これからは、また(松井以来ということ)、ヤンキースに注目するだけだ。
しかし、今回のトレードの舞台作りを見て、やはり、USAはエンターテイメントが上手いなと思った。
マリナーズファンはそりゃ、驚くよ。
球場に行ってみたら、何とイチローがヤンキースのユニフォームを来て、相手側のチームとして試合に出てくる。
「何で?!」
「ああ、さっきプレスで発表してたよ、トレードだって」
「そんで、いきなりその日から敵かよ!」と。
驚天動地とはこのこと。
ヤンキースファンにすれば、TVつけたらイチローが自分のチームにいる。あのイチローが。そんなの聞いてねえぞ・・・
その試合で、いきなり第1打席でヒットを打つおまけつき。
盗塁もセット。
こりゃあ、マリナーズファンもヤンキースファンも喜ぶし、泣くよ。
こんな演出が出来るなんて全くもって凄い。いや、打ったイチローも凄いんだけど。
ヤンキースの51番を辞退したのも、イチローの野球に体する真摯な姿勢を感じる。野球そのものに対するリスペクトの表れとも受け止められる。
何よりも、イチローの第1打席で、ブーイングをすることもなく、スタンディングオーべーションで迎えるシアトルの野球ファンに、ぐ〜っときた。
クールなイチローは、いつも通り平静を装って、いかにも昔からヤンキースの選手であったがごとく打席に入ろうとしたが、スタジアムが拍手に包まれた時、ボックスを外してキャップをとり、深々と四方に頭を下げた。
これには泣けた。
このように、シアトルのファンから敬愛される彼を見て、本当に素晴らしいと思った。ヤンキースにあっても、イチローはイチローだと言ってくれているみたいだ。このような、眼差しを向けられている日本人がこれまでいたのであろうか・・・
彼らは野球(とそのプレーヤーについても)に対する考え方が成熟している。移籍に怒るのではなく、リスペクトの念をもって、敵陣の選手に惜しみない拍手を送っている。大人なんだな、とも思う。野球が本当に好きなんだ。
この国における、ベースボールというスポーツは、本邦における野球とは違う。
やはり、神か妖精が宿っているのか・・・。
この懐の深さ、心からベースボールとそのプレイヤーを愛するこの国民性に、今日改めて感動した。
やっぱり、野球ではあんたらには叶わないよ。参りました・・・