プリウスではなくUP!を選ぶこと
面倒だ、と言っておきながら書き留めておく。
私は、この12年間、プリウスに乗っている。
初代、そして2代目だ。
この車は本当に素晴らしい。コンセプト、先進性、そして、信頼性も。故障があったのは、1回のみ。初代の時、ブレーキシリンダを交換した。
さすがに、この時は驚いたが、メーカーが無償で修理してくれた。
最も心配していたバッテリーは何の問題もなかった。大したものだ。
そもそも、このバッテリー、交換すると50万円するとか言っていたが、5年間の保証付きである。トヨタは絶対の自信を持っていたと思う。
初代は、デザインが素晴らしい。今でも好きだ。
ハムスターが踏ん張っているみたいで、とても可愛い。しかし、ボディ剛性がやや足りなく感じた。また、タイヤが細く(思いっきり燃費に振ってある)、すぐ音を立てる。明らかにグリップ不足だった。
あとこの車は、大人4人を載せて箱根ターンパイクを登る事は出来なかった。
エアコンも効かない。トランクも狭く使い物にならなかった。
燃費は、市街地で13〜15Km/ℓ。たいして良くなかった。
一方、今、乗っている2代目は、初代の欠点を全てクリアしている。タイヤも太く十分だ。加速は文句なし。
普通の車と何も変わらないレベルにまでハイブリッドカーのエンジニアリングを昇華させたことが、トヨタの技術革新力を証明している。
ボディもがっちりしている。
しかし、欠点はある。後方の見切りが極めて悪い。これでは、安心してバックができない。
燃費は、15〜17Km/ℓ。やはり、驚く程のものではない。当たりが悪いのか?
他にこれと言った欠点はない。驚く程の完成度だ。よって、恐らく3代目の完成度は、相当のものだと推測する。
それは、”重い”こと。”デカイ”ことだ。
特に、2代目からプリウスは相当大きくなった。
それに従って、取り回しもそれ相応になり、小回りは初代が素晴らしいものであったのに、今はコロナやブルーバードと変わらないレベルだ。
私にとっては、少し大き過ぎる。
こんな大きく、ゴージャスなエコカーって何か変だ、と思っていた。
もっと、コンパクトに、スマートにエコカーは作れないのか?
町中にプリウスが氾濫し、ユニクロのシャツのような状態になった時、私は車を乗り換えようと思い始めていた。
でかくて、重くて、ゴージャスなエコカーが日本で一番売れている?!これは、矛盾だ。何か変だ。
次は、もっとコンパクトな車にしたかった。
ヴィッツかワゴンRか、ロードスターか、VWビートルか、MINIか、そんなことを考えていた。
候補に、エコカーじゃないものが混じっているが・・・
そんな時、本国から1年遅れでUP!が出て来た。
1ℓCARだ・・・。WAooo・・・。
先週、実物を見に行って来た。試乗もしてみた。
驚く程、室内は広かった。
あと、ボディの作りが半端ではない。剛性が高いのは明らかだった。
内装はプアだ。日本人はこれを見ただけで”安っぽい”と感じて買わないだろう。恐らく貧乏臭く感じると思う。私は感じないが・・・。
その理由は、今のプリウスを見れば分かる。あそこまで、ゴテゴテにしないと日本では売れないのだ。あと、トヨタのいやらしいのは、プリウスを2代目から5ドア・ハッチバックにしたことだ。これは、明らかに輸出を狙っていたからだ。
過去、日本で5ドア・ハッチバックでヒットした車はない(カペラは日本では全く売れなかった)。知らんぷりして、日本人の嫌いな5ドアでハイブリッド車を作ってしまったのだ。まあ、いいけど。
さて、UP!を走らせてみて驚いた。
ツインカム特有のエンジン音がする。同乗した営業に「このエンジン、DOHCですか?」っと聞くと、「いいえ、敢えてSOHCです」と回答した。
しかし、あとで調べてみると、3気筒DOHC4バルブだった。
すごい!、VW!
さすがに、日産のように4気筒ではやらないが(初代マーチは4気筒だった!)。
トランスミッションはショボイ。しかし、これは大した問題ではない。どうせ街乗り中心だ。マニュアルでコキコキすればよい(オートマだが、マニュアルでも変速できる)。
このサイズで、このエンジンとボディ、そしてこの質実剛健とした作り。いかにも、VWだ。昔のゴルフのような車だ・・・。
これで、いいじゃん。私の身の丈に合っている。
「足る事を知る」
これが、私がUP!を選んだ理由。