色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年に取り憑かれた私は充実した空間に沈殿して行く・・・・
昨日、本屋さんの前を通ると山積みになっている本があった。
そう、話題の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の発売日だった。
すっかり、忘れていた。
「朝8時から店頭にて発売」とのポスターも貼ってある。ひょっとして、朝から並んだ人もいたのかしら。だとすれば、熱心な村上ファンだろうな、と考えていた。
ハリーポッターを早く読みたいが故に、本屋に並ぶ人はいたらしいが、それ以外の作品で忙しい日本人を朝から拘束できるパワーを持った人と言えば、この人しかいないだろう。他のどの作家であろうと、読者が本屋に行列を作ってまで買ったようなことは聞いた事が無い。
私はあまり小説は読まない。読めない。
だから、数えるほどの作家しか知らない。
どの方についてもファンというほどのものではない。
一人の作家で一番多くの作品を読んでいるのは西村京太郎だろうか。トラベルミステリーではない。トラベルしないほうを中心に読んだ。
トラベルものは、それはそれで面白いが、この人の作品はそれ以外のほうが抜群に良い。「盗まれた都市」などは今読んでも現実感があり相当に面白いと思う。だれか、これに出てくる手法で社会実験をやってもらえないだろうか。
司馬遼太郎も読んだが、この人の話は少しくどくてしんどい。しかし、何と言ってもこの人の功績は、坂本龍馬を有名にしたことだと思う。
この方の作品のお気に入りは「世に棲む日日」。私は高杉晋作が好きだ。変な顔をしている偉人。
私がよく行く神保町の古書店「明倫館」は、この人が通った藩校と同名。ここに少し縁を感じる。
他はもうバラバラ。
純文学は苦手だ。
三島由紀夫は好きだが太宰はムリ。夏目漱石は全く好きになれない。谷崎潤一郎は小説ではなく「文章読本」を読んだ。川端康成も「伊豆の踊り子」だけ。これ、短くて良いよね。
やっぱり、読書家からはほど遠い。趣味が”読書”っていう人は尊敬してしまう。
まあ、私にとってはムリしてまで読むようなものではない。
そして、村上春樹だ。
この人の作品はいける。
本屋には並ばない。しかし読んでみたいという欲望が沸く。
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」・・・
このネーミングで、既に私はこの作品に取り憑かれている。取り込まれている。
この魔力には勝てない。
さて、今日ゆっくり読むとするか・・・