オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

「栄光のル・マン」

 スティーブ・マックィーンが好きだ。

 彼が出演した映画は数多くある。

 「荒野の7人」「大脱走」「タワーリングインフェルノ」「パピヨン」「ゲッタウェイ」等など・・・

 何と言っても、彼の無頼なところがとてもカッコイイ。

 彼は、当時としては珍しくスタントマンを使わない俳優だった。現代では、トムクルーズやジャッキーチェンなどがそうであるが、これはこれで大変なことだ。「大脱走」でマックィーンが見せたオートバイで平原を駆け抜ける場面は映画史に残る超有名シーンだ。

 「タワーリングインフェルノ」の消防隊長もカッコ良かった。

 燃え盛るグラスタワーに残された設計士(ポールニューマン)に「屋上のタンクを爆破して、その水で火災を消そう」とマックィーンは提案する。

 設計士は「そんな危険なこと誰がやるんだ?」と聞き返す。

 「バカが一人、そちらに行く」

 ウ〜ン、しびれるセリフ・・・

 

 彼は1980年、50歳の若さで天国に逝った。

 まだまだ、見たい俳優だった。

 その彼が出演した映画が全てヒットした訳ではない。

 イマイチのセールスだった作品の一つに「栄光のル・マン」がある。ご存知、ルマン24時間レースを題材にしたものだ。

 この映画、地味だ。

 いや、映像は凄い。そして全て本物らしい。当然レースカーは、マックィーン本人がドライビングしている。偶然だが、「タワーリングインフェルノ」で共演したポールニューマンも自らレースに参加するほどの腕前らしい(日産スカイラインのCMに出たこともある)。ルマンには出場していないらしいが。

 しかし、この映画、先ほども触れたようにストーリーが地味。実に地味。ポルシェ対フェラーリの一騎打ちの話なのに、何だか盛り上がらない。そんで、イマイチの評判だったらしい。

 しかし、私を含めて、車好きの者でこの映画を知らない人はいない。面白く無いが傑作であることは間違いない。

・・・・・・・

 

 さて、昨日からフランスのサルテサーキットでは、その「ル・マン24時間耐久レース」が行われている。

 以前は、TV朝日がつまみ食い程度にレースを放映していたが、今は民放では取り扱っていないようだ。レースの状況については分からない。初日のスタート直後に事故があり、ドライバーが亡くなったという悲しいニュースも聞いた。

 しかし、レースは続いているようだ。

 時代も変わり、ル・マンにもハイブリッドカーが出ているらしい。昔のグループCレギュレーション(殆ど何をやってもいい規格)が懐かしい。

 今のレースを見るとマックィーンも驚くことだろう。

 しかし、メルセデスフェラーリBMWなどが、技術・情熱の全てを賭けて開発したマシン達が相変わらず元気良く走っているのを見て、また喜んでくれるのではないだろうか。

 フェラーリがハイブリッドカーを作ってる、って聞くと「ウッソ〜!」って言うと思うよ。

 そう、「栄光のル・マン」では彼はポルシェの側だったもんね。

 2013年の「栄光のル・マン」は誰が手にするのだろうか。