オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

”ひまわり” の夫

 私にだって、好きな女優はいる。

 大好きな歌手だっている。

 いつも、ずっと頭の中にいたアイドルがいる。

 

 山口百恵は、その時代を表す象徴的アイドルであり、スターであり、女優であった。そして立派な男の妻となり、日本の理想的母親となった。

 彼女のことは、忘れられない。

 アイドルは消耗品と言う人もいるが、山口百恵は私とその頃を一緒に生きた家族達の想い出の中に鮮明に残っている。皆、大好きだった。

 確かに・・・、彼女は ”伝説” になった。

 

 2007年の初夏、仕事中にケータイメールが入った。

 友人が教えてくれた。

 最近、彼女の姿を見ない、と思っていたが、療養中だったとの事。

 その彼女が亡くなったとのこと。

 私は、たまたま青山霊園の傍で仕事に就いていた。

 その気になれば、彼女の告別の場には行けた。

 後々、妻から「行けば良かったのに・・・」と言われた。「あんなに好きだったのに・・・」と。

 でも、私は現実の喪失感が大きく、その場に行くのが嫌だった。

 怖かった。

 そして、恐らく行かなくて良かった、と思う。

 あのような場で涙するのは嫌だ。

 坂井泉水のことは忘れない。

 

 女優の事は以前も書いた。

 その記事は、低俗で下品なバカ記者が、話題作りのために、でっち上げを勝手に書いているのだと今でも思っている。

 とあるアスリートとその女優が似ているという下らないあの記事だ。

 その真実なんか、どうでもいい。

 ただ、不愉快極まりない、ジョークにもシャレにもならない、くだらない記事。似てもいないものを「似ている美人」という言い方に、表現しようも無い嫌悪感を感じた。

 彼女は、突然、白血病で亡くなった。

 妻を失って暫くの後、その夫はある女優と再婚した。

 その女優は、彼女よりはずっと年上の人であったが、同じく和服の似合う美人だった。

 私は寂しい気持ちで一杯だった。

 いや、一生、彼に喪に服せ、と言いたかった訳ではない。

 またしても、女優と再婚した事が腹立たしかっただけだ。

 「夏目雅子」のことは、もう、忘れたのか、と・・・

 

 その彼は、つい最近まで、ほとんど名前を聞く機会が少なかったのだが、「いねむり先生」という本を出した事は知っていた。書店に並んでいる。

 

・・・

 

 今日、それをドラマ化した番組が放送されるらしい。

 藤原さんが、伊集院静の役を演じるとの事。

 私の年代は、阿佐田哲也を知らない人はいない。

 あの本の「先生」とは、色川さんのことだったんだ・・・

 

 

 私は、「いねむり先生」を見るかどうか、まだ迷っている。

 以前に、夏目雅子を描いたドラマはあった。

 私は、それを録画はしたが、今でも見てはいない。

 見る気になれないからだ。

 今日、放映の番組には、妻としての「夏目雅子」が描かれているようだ。

 まだ、見るべきか、迷っている。

 

 しかし、私の知らぬ事であるが、彼が、伊集院静が「夏目雅子」のことを想っていてくれたことが嬉しい・・・