ゴルフクラブは望遠鏡になった
「お前も課長になったんだから、ゴルフ始めないとな!」
この間、飲み屋で聞いたお隣さんの会話だ。
ふ〜ん、課長になるとゴルフやんなきゃいけないんだ。こりゃ、大変だな・・・、と人ごとながら同情した。
なんで、課長、あるいは管理職?になるとゴルフをやんなきゃいけないんだろうか。
言うまでもなく、会社内でのお付き合いのあり方を言っているのであろうが、それが、いまでもゴルフなのだろうか・・・
友人で「タバコ、ゴルフは偉いさんと共通の話題を持つチャンスだ」とマジで言っている人がいた。しかし、その友人は、本人曰く「リストラ」されて小会社に転籍した。
一体、何のためにタバコを吸いゴルフをやっていたのであろうか・・・。
今でも日本人は管理職になると「社長、ナイスショット!!」と口先のお世辞を言う為のシュチエーションを自腹を切ってまで用意せねばならないのであろうか。
不思議だ・・
私は、ゴルフを10年程前に止めた。そう決意した。
大した理由はない。
おそらく、付き合いで始めたものであったが、そんなに好きではなかったのだと思う。もちろん、競技・スポーツとしての ”良さ” は今でも理解しているつもりだ。
しかし、つまらないので止めた。
友人にも「肘の調子が良くないので出来ない」と断り続けた。
肘の件は、嘘ではない。少し無理をするまでもなく、恐らくプレーは出来る。でも、止めるに良い機会だと思ったのだ。
ゴルフを止めるのに「大の大人が小さな穴に、それも止まっているボールを突っ込む事に大層必死になることがアホらしい」とは言い得て妙な言い訳だ。大好きな人達に向ける皮肉としては一流のものだと思う。
それも一理ある。
でも、私はゴルフ愛好家たちの次の振る舞いが好きになれなかった。
①結局は、何かと自慢話をしたがる
②賭けをして小銭を集めることに執着する輩がいる
どちらも、私の友人達がお下劣なだけかもしれない。
しかし、②については、全国区で通用するルール名が存在する事は事実だ。「オリンピック」などは、その最たるものだろう。紳士のスポーツが聞いて呆れる。
私は賭け事は母親との約束でやらない。
これは信条だ。
しかし、これを押し通そうとすると「ゆずは付き合いが悪い」と言われる。露骨に嫌な顔をされる。
アホな提案をしているのは向こうなのに「俺は乗らない」というと、空気を読んでいないのは私の方になる。
それで、どうせKYだと言われるのであれば、思い切って最初からゴルフの誘いは断る事にした次第だ。
私の知る、とあるエグゼクティブは「ゴルフはギャンブルだ!」と言っていた。
アホか・・・
しかし、ゴルフ自体に罪は無い。
友人の資質も私の人格の一部であるのなら、これは不徳の致すところだ。
・・・・
ゴルフ人口は、近年減少の一途だそうだ。
そりゃ、そうだろう。プレーコストだけの問題ではないような気もする。
会員権のことをとってもそうであるが、何かにつけてこのスポーツは敷居が高く儀式が多い。
マナーだけでなく、何やら特権階級(紳士?)としての立ち振る舞いを要求されているような面がある。
そんなこと、今はもうごめんだ。団塊世代のジジイ達とラウンドするのもご免だし。
私は神奈川県に住んでいるので、静岡のゴルフ場に行く事が多かった。土日にプレーすると、なんやかんやで3万円近くになることもある(今はもっと安い?)。
いくらなんでも、高すぎる。
そして、それに相応する満足感は得られない(オリンピックだの、郵便局だのとウンザリです)。
私は、ある時からゴルフの誘いを断り続け、その浮いた小遣い分で望遠鏡を3台(屈折式/反射式/カセグレン)購入した。
どれも、そんな、高価なものではない。
しかし、とても大切なものだ。
今は、静かに星と語り合っている。