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オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

「返上」か「カット」か?

 某タイヤ会社がUSA司法省に罰金4億2500万$(430億円)を支払う事になったそうだ。

 何とも高額であることに驚かされるが、これまでに同社が支払った罰金の中で最高額との事である。

 「・・・?」

 そんなに何回も払ってるの?

 調べてみると、同社は2011年にもマリンホースの価格操作をしたとかで、2800万$の罰金を喰らっている。ユーロからも同様に5850万€。

 また、国内では2005年に、防衛省発注の航空機用タイヤでの談合で、指名停止を受けている。

 今回の事案を受け、取締役全員と管掌執行役員は、賞与を全額返上するとの事。代表取締役は月給の50%、執行役員は25%を6ヵ月間返上するそうだ。

 ここでも「・・・?」

 何で「返上」なんだろうか?

 全員で返上、って一体どういう状況なのだろう。

 恐らく、当事者が「カット」や「支給停止」と言わず「返上」と、記者会見で言ったから、新聞各社もそのように報道しているのだと推測する。

 「そんなの、どっちでもいいじゃん。エラい人達も反省しているんだから」

 と思われるかも知れないが、社内ルールに則った処分の結果としては、相当内容が異なる可能性がある。

 「返上」っていうのは、①従来通り考課査定の結果として規定額の賞与を支払った、②しかし、本人が「会社に迷惑をかけたのでいりません」と言ってきた、という状況。

 一方、「カット」は、③お前は不祥事を起こし会社の社会的名誉を著しく失墜させた、④よって、その罰として賞与は与えません、⑤何故なら、賞与とは業績を挙げた褒美だから。あなたはそれに相応しくありません、ということだ。

 前者と後者では「査定」の結果としては、全く内容が異なる。

 前者は、(談合の)当事者が通常の業績を挙げていることを社内考課により審査・決定している。後者は、その逆の査定結果で、いわば ”懲戒処分” を受けた結果だ。

 一般的にこの規模の大会社になると、懲戒処分の結果として賞与がゼロになるのは、相当に厳しいレベルではないだろうか。これ以上の処分と言えば、降格、解雇に行き着く訳だから。

 つまり、某タイヤ会社の社内処分は、報道の通りであれば「お咎めなし」ということもあり得ると言う事。査定や業務経歴も「無傷」。

 

 「談合」なぞ、良くある事だし皆やっていること。ある意味、必要悪。こんなことでいちいち懲戒処分をしていたら役員がいなくなる。今度からバレないように気をつけろ。ただし、世間の目もあるし、何より株主総会で経営責任を問われると困るので、せめてボーナスは全員が自主返上しろ。わかったな、全員だぞ!これに従わなかったら本当の「懲戒処分」だ。

 

 と、いうことではないのか?

 で、あれば会社の姿勢は疑問だ。

 それでいいの?

 タイヤ会社は「信頼回復に向け、国内外の全てのグループ会社でさらにガバナンス・コンプライアンス体制の徹底を図っていく」と言っているそうだ。

 しかし、これまで何度も性懲りも無く談合を繰り返しながら、今回の事態に至っても明確な社内処分を行わないようであれば、上記のコメントも絵空事であろう。今後も、同じことを繰り返すに違いない。

 「返上」なのか「カット」なのか。

 そこに企業の姿勢が見てとれる。

 

 どちらだ?ブリヂストン・・・