オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

Windows8沈黙の顛末

 彼女の使っているAcer PCの起動が出来なくなった。

 彼女から「PCが動かないから見てくれ」と頼まれたので、状態を確認すると、確かにOSが立ち上がらない。

 起動画面は表示される(Acerロゴは表示する)が、その後、ディスクスキャンに入り、「修復しています」とのメッセージが表示される。

 どうやら、FATが壊れているようだ。

 「PCを落とす時、ちゃんとシャットダウン処理やってる?」

 「うん、やってるよ」

 「・・・、う〜ん」

 「壊れちゃった?」

 「いや、ハードディスクは生きているみたい。システムファイルが壊れてるみたいだ」

 「・・・?」

 「ちょっと、預かるから」

 彼女には、もう1台のノートPC(ThinkPad)に彼女用の環境を作り手渡した。回復処理が終わるまでは、それを暫定的に使ってもらう。

 同じ、Windows8マシンであるが、こちらは「Windows8Pro」、画面はタッチパネル式ではない。

 Acer PCとは微妙に操作は異なるが、インターネットを使う分には問題ないだろう。

 

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 さて、Acer PCの起動状況をもう少し観察してみる。

 結局は、上記の「PCは正しく起動できませんでした」との表示になる。

 やはり、システムファイルに何らかの損傷があったようだ。

 PC起動時の簡易回復機能で修復できないのであれば、システムに搭載されている回復機能を利用するしか無い。しかし、「リフレッシュ機能」についてはあまり期待できない。

 何故なら、新規ソフトインストールなどやっていないから、リスタートポイントが登録されていない可能性大だ。

 一応、試してみる。

 ・・・

 やはり、ダメだった。

 こうなると、覚悟を決めてOSをリカバリディスクからリロード(初期化による回復処理)するしかない。結構、難儀な仕事だ。

 バックアップは、USBメモリやDVDではなく、USB接続の外付けHDDに取ってある。通常は、USBメモリに取ることが多いのかも知れないが、たまたま使っていないHDDがあったので、それに取ってあった。

 メーカーマニュアルによると、バックアップには、格納先に16GB以上の空きが必要とのことなので、DVDだと複数枚に跨がってしまう。USBメモリを使うにしても1000円程度の出費が必要。

 これって、結構敷居が高い。余り物のHDDを使ったのはそれが理由だ。

 HDDをUSBポートに接続し、BIOSのBoot設定を「USB DEVICE」に設定。

 リブートすると、やがて「トラブルシュート」の画面が出る。

 そこから「PCの初期化」を選択。 

 

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 「お待ち下さい」の表示。

 私は待った。数時間待った。

 しかし、終わらない。上記画面から次のステージに遷移しないのだ。

 「こりゃ、ダメだ・・・」

 事態は、思ったより深刻だ。

 OSの回復機能が使えない!

 

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  ↑

 バックアップが不良だったわけではない。バックアップディスクの内容は問題ないことを確認できている。

 

 「どうする・・・?」

 恐らくOSのシステム領域の管理情報に深刻なダメージがあったともの想像する。データの書き込み自体が出来なくなっているのだ。最悪の場合、FATではなくパーテションそのものの管理情報が破壊されている可能性もある。

 こうなると、確認・修復作業には、FDISKのような原始的なフォーマット/初期化プログラムが必要だ。Windows8にそのような機能はない。そもそも、フロッピーディスクがないので、OSを離れての独立(自立)作業ができないのだ。

 やはり、修理に出すしかないのか・・・

 私は、Aicer PCを閉じてしばらく思いに耽った。

 

 ・・・・・・・

 

 それから、3週間が経った・・・(放っておき過ぎ)

 ある日、ネットで、Windows8の復旧に関するTipsを読んでいたら次のようなコメントを見つけた。

 「OSの回復作業とは言っても、Windowsの機能を用いて行うことから、Windowsそのものに深刻なダメージがあった場合、その作業自体が上手くいかないことがある」

 なるほど、OS環境がある程度正常に維持されていないとリカバリー機能自体が使えないということか。

 OSの機能を使ってOSを回復するなんてバカみたいだ。それって、一種の自己修復じゃん。方法論として脆弱すぎるよ・・・

 

 しかしヒントにはなった。

 ある手段を試してみることにした。

 一旦、Windows8をクリア・インストールし、その新システムの修復機能を使って、OSを元の出荷状態に戻してみる。

 

 OSのクリア・インストール時には、FATを全て書き換えるのでシステムは完全に再構築されることになる。一旦、今の不正なファイル管理状態はリセットできる筈。

 OSのシステムコマンドには、バックアップ領域をリロードするものがある。これを用いて、バックアップHDDの保存データを使うのではなく、PCのバックアップ領域にあるデータでPCを初期状態に戻す。

 新規OSは、たまたまであるが、マイクロソフトのセミナーに行った時に、お土産にもらった「Windows8 Enterprize」がある。試供品であるが一般的な機能はサポートされているので、修復機能も使える筈。

 これを試してみてダメだったらメーカー修理にだそう。そう考えた。

 

 Windows8 Enterprizeをクリア・インストールした。「登録期限が切れています」との表示は出るが、使用に問題は無かった。システムメニューから「システム回復」(らしきコマンド)を選び、実行。

 

 結果は、見事に成功。

 彼女のAcer PCはもとに戻った。

 ラッキーだったと思う。

 今回の教訓。

 

①今時のPCのOS回復作業は結構難儀。出来ることの機能限界が分からないため、レガシー技術の方が使いやすい場合がある(何でも出来るから)

②サポート窓口が設置されている国産メーカーのPCを選択する理由は、やはりある

③リカバリディスクだけでは安心できない。リブートできないだけで修理にだすのはもったいない(最低でも15000円ぐらいかかる)が、そうせざるを得ない場合もある

 

 今彼女は、修復したAcer PCを使わず、Think Padを使い続けている。

 どうやら、Think Padが気に入ったらしい・・・