スタジアムに潜む不純な動機
SAMURAI JAPANを応援するようになって以来、いくつかのスタジアムに行く機会がこれまであった。
トヨタ、さいたま、日産、宮城、柏スタジアムなどだ。
柏スタジアム以外は、どれも素晴らしい施設である。
柏は数年前にスタジアムを大規模改修したらしいが、先に挙げたものと比べると明らかに劣る。失礼ながら。
しかし、レイソルファンの方が仰っていたが、選手との距離が近いのが柏スタジアムの良いところなのだそうだ。
確かに、それは言える。
以前、横浜マリノスとの開幕戦を見に行ったのであるが、目の前で中村俊輔のプレーを見ることができた。本当に間近だった。
意外だったのであるが、柏/マリノスの双方の選手達は、プレー中に大声を出すことが無かった。多くの連携プレーは、アイコンタクトで行われていたのだ。
この事には大層驚いたが、これも柏スタジアムのようなこぢんまりした施設構造でなければ観客からは分からない事だ。
各々のスタジアムには、それ相応の楽しみ方があるものだ、と認識した次第。
そのファンの方が付言していた。
「プレイヤーとサポーターの距離が近いのは良い事だが、以前、応援用のフラグで相手選手をつついた不届きものがいて、そのせいで観戦ルールが大層厳しくなった」
とのこと。今では笑えるエピソードだ。
たまたまであるが、2012年のいつだったか忘れたが、これまた国立競技場で行われたレイソル VS 、---どこだったか?アントラーズかレッズだったと思う---を見に行く機会があった。
この時のシート(観戦場所)は、ゴール裏だった。
チケットをもらった時の私は、
「・・・」
これって、レイソルサポーターが「柏熱地帯」って呼んでる場所だろ・・・
試合開始から終了まで、大声で応援しているところ。
ずっと、立ちっぱなし。
応援歌を歌い続けているところ。
何でか知らないが、時々、誰かが自分達に向けて水をかけてたりしてるし・・・
あの、訳分からん場所。
正直、「イヤだな」と思った。
あの人達には、付いていけないのではないか、と思ったのだ。
先ほどのレイソルファンに聞いてみた。
「「柏熱地帯」では、応援のしきたりとか、注意点とかあるんですか?これは、やってはいけないとか、ここは空気読め、とか・・・」
「そんなもん、無いですよ」
そうなんだ・・・。
じゃあ、あの人達、誰にも強要もされていないのに、あんなことやってるんだ・・・
私には理解できなかった。今でも、彼らの行動理念、思想のコンテクストはよく分からないでいる。
分かるのは彼らが「レイソルが大好き」ということ。
実際に「柏熱地帯」で観戦してみてそのことが良く分かった。
私は多くの時間、座ったままで観戦していたが、一方で誰にも促される訳でもなく立って応援する人もいた。
前の人が立っていると、後ろに座っている人は試合が見え辛くなる。
しかし、文句が出る訳ではない。
おのずと自らも立ち上がったり、前の人を避けて見たり、また前の人も後ろに気をつかったりして・・・
カオスと凄まじい熱気の中の応援であっても、一定の良識とマナーを前提に、あの大声援が成り立っている事が良く分かった。
「柏熱地帯」もまた良い。
レイソルには、マナーに優れた熱いサポーターがついている。スタジアムが控えめでも、それで十分なのだと得心した。
浦和レッズのサポーターが、またしてもやらかしたらしい。
本当に懲りない連中だ。
もちろん、一部のグループが引き起こしているトラブルだと想像するが、主催者側はここらで抜本的な対策と行動に出るべきであろう。
あのような行為ができる連中は、サッカーを、レッズを愛しているのではない。そうであれば、取れない行動であり、あり得ない発想だ。
彼らは「レッズ愛」と「自己顕示」を倒錯させている。
スタジアムは「サッカー」を見に行く場所だ。
それ意外の動機は全て”不純”だ。
立派なスタジアムが泣いている・・・