文化の敗北
少しばかりショックだ。
昨日・今日と、小用があり近所を車で走っていたら、何と本屋(書店)が2店舗も閉鎖されているのを見た。
どちらも車で5〜10分程度の場所にある本屋だった。
これで、普段の行動範囲内で存在する本屋は3軒を残すだけだ。
「そんだけあれば十分だろう」と言われそうだが、私にとってはそうでもない。
多くのバリエーションの中から気に入ったものを選びたいので、店舗の選択肢は多ければ多い程よい。本屋とは言っても、どこも全く同じものを置いている訳ではない。
小説、雑誌、専門書、趣味等、お店によって若干ではあるが、品揃えに力を入れているものがある。
その重心の置き方が、またそのお店の個性でもあり、それが見たいため、暇な私の足は本屋に向くのだ。
店じまいした2店舗とも、住宅地からは少し離れた街道沿いにあったため、それ程流行らなかったのだろうか。あるいは、私のような、買うよりも見ていることの方が多い客がいるため、経営が苦しかったのであろうか。
残念だ。
・・・・・・
本屋、書店等の書籍を陳列し、対面販売する経営形態は、今、終焉を迎えようとしている。
書籍の在庫、バリエーション、それを検索する手段、消費者が選択・購入した後の物流・・・。どれをとっても、リアル店舗に未来はなさそうだ。
amazonを始めとするネット販売に、リアル店舗は太刀打ちできないだろう。
先ほど、「本屋には各々個性がある」とは言ったものの、それを「付加価値」にまで持ち込む為には、やはり一定規模以上の店舗面積と豊富な書籍在庫が必要だ。
街道沿いにある本屋では、おのずと限界がある。
今後、ネットに対抗して生き残ることが出来るのは、有名どころの巨大店舗だけになるだろう。これも、時代の流れというものか。
10年程前まで駅前には有隣堂があった。
今はもう無い。
有隣堂が撤退した後、テナントに入ったのは「パチンコ屋」だった。
駅前にはパチンコ屋が3軒ある。
・・・
書籍を実際に手に取ってみて、表装や作りを確認する、触りを少しだけ読んで確認してみる・・・。
これは本を選ぶ時の楽しみ、だ。
ネットではできないこと。
本屋がパチンコ屋にとって替わられる事・・・
これは文化の敗北だと思う。