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オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

今さらGDPなんて・・・

1.デンマーク
2.ノルウェー
3.スイス
4.オランダ
5.スウェーデン
6.カナダ
7.フィンランド
8.オーストリア
9.アイスランド
10.オーストラリア

 

 これは、2013年度に国連が発表した「世界幸福度報告書」による国別幸福度ランキングだ。

 デンマークノルウェーは、北欧の国。

 デンマークは、日本人にはあまり馴染みはないかもしれない。世界で最初の証券取引所が開設された(コペンハーゲン)というのを聞いた覚えがある。

 税金はめっちゃ、高い。

 一方で、訪問介護の制度は100年以上の歴史があると聞く。

 高福祉国家で知られる。

 所得税が40%を超えるような「クレイジー」な国民負担を課しているが、意外な事に若い世代の人達は、この「安心して暮らせる」国の福祉制度を概ね支持しているそうだ。

 ノルウェーは、「海の国」。

 南北に長く日本と似ている。

 丘の上からベルゲンの港を見下ろした風景は、日本では長崎のものととても似ている。港の外には、大きく北大西洋が広がっている。壮大な光景だ。

 そして日は長い。白夜の国。

 日本人と同じく、この国の人々は魚を食する。鯨も・・・

 バイキングや人魚伝説で有名であるが、実はこの国は北海油田の開発以降、有数の産油国なのだそうだ。

 ここでも、人々が安心して暮らしているさまは容易に想像出来る。

  高負担・高福祉の典型が、この上位2国と言える。

 7位のフィンランドも北欧に位置するが、一人当たりの国民所得だとか、学力の国際比較だとか、国富の絶対額ではない指標、実効的、内実的なものごとについて国際比較をすると必ずと言っていいほど登場する。

 

 この報告書によると、アメリカは17位、中国は93位だそうだ。

 何を根拠に「幸福度」を計測するのかは知らないが、その国に生まれ、そしてそこで死んでいく「国民の幸福の意識」が順位を決定づけるファクターに含まれるのなら、この報告書は大いに意義があるだろう。

 国が金持ちである事と「幸福」に、必ずしも強い線形の相関関係(金=幸福)があるとは言い切れないと、この報告書は言っている。

 「幸福」の定義は「金」だけではない、と言うこと。

 

 ・・・

 

 『「法人税10%下げならGDP50兆円押し上げ 」〜30年までに、日経センター試算。 海外の資本・人材呼び込む』

 

 先日、日経新聞に掲載されたコラム記事だ。

 日本の法人税をアジア主要国並みに25%(10%引き下げ)にすれば、GDPが増えてまた中国を抜けるかもよ、と日本経済研究センターは言っている。

 減税財源は、「消費税」・・・

 もし、消費税を引上げて20%にして、本当にGDPが50兆円増えたら、その時私達の意識、幸福度はどのように変化しているのだろうか。

 超高齢社会が進展する中で老人達の「孤独死」や市町村の過疎化・絶滅化はどのように推移するのだろうか。

 年間3万人を超える人が、自らの命を絶つ、という悲惨な現実は改善されているのか。

 「ブラック」「社畜」「過労死」という言葉と現実は根絶されているのか。

 非正規雇用の課題や待機児童の解決は図られるのか。

 税金と社会保障の改革は実を結ぶのか。

 何よりも、その時、若い人達、子供達は未来を「輝かしいもの」として捉えているだろうか?

 日本経済研究センターによると、法人税引き下げによる経済効果は、海外投資の増加と優秀な海外の人財流入によってもたらされるとのこと。

  日本で商売をするのが一番得だ、と考える海外企業がドッと日本に押し寄せ、ハーバード大出身のエリート達がこぞって日本法人を設立・起業し、ビジネス展開を図っている。

 法人税が安い、という理由だけで・・・

 そのような「夢」を日本経済研究センターは見ているらしい。

 人口の半分が外国人。企業の半分も外資系。会社の中の労働者も半分が外国人。おそらく公用語は英語。そんな企業が日本経済の基幹を支えている。

 その社会には中小の製造業は無い。匠の技術者も絶滅。

 大田区はスラム街になっている。

 極端であるが、縮小する経済を補ってさらに50兆円拡大させるのだ。これくらいのことは起きても異常ではない。

 そしてその頃、我々日本人は、もはやブラック系居酒屋ではバイトをしなくなっている。

 そこに働いているのはアジア系の外国人。

 我々は彼らを顎でブラック的にこき使い、「頭脳労働」を行っているかもしれない。

 あるいは、優秀な外国人が大量に国内に流入するのであれば、そうではない私達の仲間は職を失い、路頭を徘徊し、皆でホームレスをしているのかもしれない。

 しかし、それでもGDPは世界第2位。

 それが目指すべき未来であると言いたいらしい・・・ 

 

 一体、日本経済研究センターは「何」を目指してこのようなシミュレーションを行ったのであろうか?

 目的、目指すべき国家像はどのようなものなのだろうか。

 日本のGDPが中国に抜かれたら、如何なる手段を使ってでも抜き返さねばならないのか?

 ただ、抜けばいいのか?

 そこに「幸福の追求」は無いのか?

 

 出生率が下がる。子供を産む機械の数が減る。

 人口が減少に入る。就労者数が減り生産力が下がる。

 一方で高齢社会は益々進展し、国全体の生産性が下がっていく。

 だから、GDPが下がる。

 だから、GDPを上げる為に消費税を上げ、法人税を下げ、外国人と外資を大量輸入し、日本人の替わりに頑張ってもらう。

 日本国民は、どうなるか知らないが、日本国というくくりの中でGDPという計測数値だけは上昇していく。

 ・・・

 このような構想を持つ人は、一体どのような頭脳構造をしているのだろうか。

 是非、切開して覗いてみたい。

 

 人はパンを食べて生きているのではない。たしかに生きていくのに一片のパンは必要ではあるが。

 「生きる幸せ」をイメージできない人達は、国家像やマクロ経済、未来ビジョンを語るべきではない。

 そのような輩には、所詮極めて無神経・無責任・無機質な偶像しか吐き出せないのだから。

 

 「世界幸福度報告書」の日本の順位は43位。

 現実はともかく、数字的には健闘しているじゃないか・・・