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オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

普通の極限

 少し前「ランサーエボリューション生産終了」との報を聞いた。

 「エッ!やめちゃうの…」が最初の印象。

 実は、この車のことは良く知らない。しかし、ラリー用に開発された「スゲエ車」であることは聞いたことがある。

 知らないれど、生産終了になるのであれば気にはなる。

 メーカーのWebサイトを覗いてみた。

 正しくは「ランサーエボリューションX TC-SST」モデルが生産終了。5M/T・GSR仕様は生産を継続するとのこと。全部止めてしまう訳ではないようだ。

 TC-SSTって何だ?

 調べてみる…

 Twin Clutch Sport Shift Transmission というものらしい。どうやらDSG(VolksWagen)と同様のトルコンを使わないダブルクラッチのミッションのようだ。

 驚いたことに、この凝ったミッション、三菱製ではない。「Getrag社」製とのこと。

 なるほど…、このモデルを打ち切る理由には、主要コンポーネントであるトランスミッションの調達を外部から行っているからか。三菱が車のコア部分を他社から調達するのは珍しいように思う。やはりこの車、ポコポコとは生産出来ない代物なのだ。

 

 しかし、改めて見てみると凄い車である。

4B11、1998cc、DOHC4VALVE、ターボチャージャー付き。300PS/6500rpm、43.0kgf・m/3500rpm

・エンジンシリンダーはアルミダイキャスト製、吸排気連続可変バルブタイミング機構搭載。可変バルブ機構は吸気・排気の双方にセッティング。バルブトレーンは、ロッカーアームを廃したダイレクトドライブ式。ターボチャージャーはチタンアルミ合金製

S-AWC(Super All Wheel Control)。これは、4WDにACD(Active Center Diff)、AYC(Active Yaw Control)、ABS(Anti lock Brake System)、ASC(Active Stability Control)の機能を組み込んだものとこと。

 英語ばかりで分かり辛いが、敢えて単純に表現すると、

①油圧多板クラッチによるセンターデフ機構

②自動ポンピングブレーキ

③後輪デファレンシャルギアのトルク配分とロック機構の自動制御

④アクセル、アンチロックブレーキの総合制御によるコーナリング時の姿勢制御

と言うことになる。

・リアサスペンションは、凝った構造のマルチリンク方式

・ブレーキは当然4輪ともディスク製。赤色。タイヤは245/40R18。太〜く、ペッタンコ

・お尻に印象的なリアスポイラー装着(羽みたい)。これ、カーボンファイバー製の超高級なもの(開発は東レらしい)

 

 これでもか…、というスペックだ。

 この車、最初からWRCのホモロゲートを取るために、ラリー用の改造を行うために設計されている部分が随所にある。ボディ構造やエンジンマウントについても、手が入れられることを想定済みだ。

 まさに戦うためだけに作られた車。この割り切りは素晴らしい。

 

 国産最強のスポーツカーは、GT-Rであろう。この車はもはやスーパーカーだ。普通の車ではない。

 ランエボは一応、ランサーだ。

 一般車のギリギリのところにいる。

 しかし、この車には三菱の有する自動車技術の粋が組み込まれている。

 おそよ、実現可能な実用技術の全て、だ。

 狙いは、WRC。この一点。

 市販車であるが「走る」ことの頂点を目指した車。

 普通でありながら、極限に到達しようとしている。

 そんなものが、400万円程度で手に入る。

 

 ひょっとしたら、それが一番凄いことなのかも知れない・・・

 

 

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