オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

筋が悪い話

 旧日本海軍に「扶桑」という戦艦があった。

 名前は申し分ない。しかし、「筋が悪い」設計の艦だった。

 開戦時の主要スペックは下記の通り。

基準排水量 34,700t

全長 212.75m

水線幅 30.64m

速力 24.7kt

主砲 35.6cm砲連装6基:12門

幅砲 15.2mm砲単装14基

 

 重武装の大型艦である。

 何の「筋が悪い」のかというと、24.7ktの速力だ。鈍足。

 この戦艦は、1915年に竣工したものであるから、開戦時においては既に艦齢26年であるとは言え、あまりに速力が遅い。遅過ぎる。

 大口径砲を12門も備えることは素晴らしいのであるが、この低速で果たしてUSA相手にどのような戦い方が出来るというのだろう。

 30年以上前にあった日本海海戦のシチュエーションでしか使えない戦闘艦だ。太平洋戦争で日米双方が運用した航空母艦の護衛用には到底当てられない。

 この艦は、何度かの大規模な改装を経ているが、速力だけは如何とも向上し難かった。新造時22.5kt→改装後24.7kt、である。

 その理由は、200m程度の船体に35.6cm連装砲を6基も搭載したことだ。余りに攻撃力重視の設計であったことから、十分な機関出力が捻出出来なかったのだ。

 外観を見れば分かるように、この艦は主砲塔6基のうちの2基が船体中央部に、それも煙突を挟んで配置してある。

 これでは、エンジンを搭載する場所がない。

 現にこの艦の機関出力は極めて貧弱で75,000馬力だった。金剛型が136,000馬力であったのに。

 スタイルも非常に不安定だ。とてもスマートとは言えない(好みにもよるが)。

 因に本艦を低速と蔑んでいるが、長門型、伊勢型も似たような性能であり、当時の戦艦は押し並べて低速であった。要は、攻撃力、防御力と運用性のバランスがとれていないと言うこと。

 この艦は、実戦での使い道が無いため、開戦後長く瀬戸内海に繋がれていたが、1944年のレイテ海戦で最後の花道を飾っている。場所はスリガオ海峡。待ち望んだUSA艦隊との艦隊決戦であった。

 しかし、この時の相手側が用いた戦術の中心は、魚雷艇であったと聞く。砲戦もあった様であるが、多数の小艦艇を相手に近接戦、魚雷戦を挑まれたようだ。

 つくづく「筋の悪い」話だ。

 

 ・・・・

 

 「軽減税率」の与党協議は続いているらしい。

 自称「平和の党」が頑強に自己主張を押し通そうとしている様だ。

 前回総選挙で代表自らが「軽減税率〜、軽減税率〜」と一つ覚えにアピールしていたのだから、引くに引けないのは理解出来る。

 しかし、この政策「筋が悪い」。

 低所得層への配慮、救済処置というのが大義名分であろうが、お金持ちも「食料品」は購入するので恩恵は広く、隙間無く拡散される。

 それに、財源が捻出出来ていない。たった4000億円を確保するのに、他の社会保障制度を削ったりしている。

 食料品の多くを対象とするには、さらに4000億円程度の財源が必要とのこと。

 しかし何度も言うが「筋が悪い」。

 スーパーで秋刀魚を買った際に216円払うか、210円を払うかで揉めているのだ。

 その差、6円。

 消費税を品目によって、8%と10%で使い分けるなんてナンセンスだ。これが食料品であるか無いかとで、5%と20%の違いがあるのであれば、まだ政策的意義も理解出来なくもない。

 あの与党様の幹部連中はバッカじゃないか、と思っている。

 誰のための、何のための制度なのか、為政者達は今一度冷静に考えた方が良い。

 

 それにしても4000億円の捻出に苦労するとは、貧乏な国になったものだ。

 つい先日、税収は1.7兆円程度上振れするとのニュースを聞いたばかりだ。

 COP21では、今後5年間で途上国に1.3兆円規模の経済援助を行うとABEが得意顔で表明していた。

 桁違いの対外経済援助を表明しながら、4000億円の財源が国内には回せないらしい。何だかアホみたいな話だ。

 財務省のHPを見ると、この国の税収の状況は詳しく分かる。

 平成27年度の基礎的財政支出は72.9兆円。それに対し上振れした結果の税収は56兆円程度。

 収支的にはまだ、72.9-56=16.9兆円の不足だ。消費税に換算すると10%も足りない。金欠甚だしい。

 27年度予算の中で「経済協力費」は5,064億円となっている。COP21での経済協力は恐らくこの中から捻出されるのであろう。

 それとこれは違うと言うことで、軽減税率の財源を「経済協力費」や「防衛費」(約5兆円)に求めることは、実際には許されないのであろう。

 ならば、どうするのか?

 やはりタバコか。

 1箱あたり50円程度引き上げれば、財源は確保出来そうだ。

 ただし、その値段は430円→480円程度になる。

 1箱1000円までは、まだまだ余裕がある。因に本当に「愛煙」しているのであれば文句は無い筈だし、嫌なら止めれば良い。このことに耳を傾ける関係者は皆無であろう。

 食料品の中では、恐らくお酒が狙いやすい。財源は1.3兆円程度。しかし、30%レベルの引き上げはさすがに厳しそうだ。

 であれば、酒とタバコ双方の税率引き上げで、生鮮食料品の軽減税率財源を確保するのは如何か。

 これ…、意外と筋は悪くないかも知れない。

 

 

 

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