苗場という基準
たまたま、NHK BS1でFIS W杯アルペンスキーをやっているのを見た。
近年は、モノスキー、スノーボードも大流行りだが、やはりアルペンスキーは良い、凄い。
30°を超える斜面のコースを大小のターンを駆使して降りて行く。
速い者が勝ち。ただそれだけ。
シンプルであるが、確固たる基本技術の裏付け・積み上げがなくてはあのような速度で斜面を滑降はできない。
美しさであれば、デモンストレーション・スキーであろうが、スキー本来のより速く滑るという面でスラローム(回転)という競技の醍醐味に勝るものは無い。
極限状態で板を操るアスリート達には何かが取り憑いているように見える。そして、別の意味で”美しい”。
一体、全体、どのような訓練を重ねればあのような滑りができるのだろうか…
2月13日、14日、苗場スキー場で大会は行われていた。
そう、あの「苗場」だ。
今回の大回転のコースは、ゴンドラで昇った山頂駅からの斜面。
あの山の上(頂上ではない)からプリンスホテルを見下ろす名物コースだ。
ここは相当の急斜面で、いつも昼過ぎにはコブだらけになっていたような気がする。
アスリート達はこの難コースを凄まじいスピードで滑走していた。世界最高峰の技術をもつプレーヤーが、「苗場」の難コースにアタックしていた。
今、日本のスキー場でW杯が開催されている。
とても素晴らしいことだと思う…
スキー人口のピークは、バブル時代の1993年の1860万人だそうな。その後、減少を続け最近では770万人程度とのこと。
人口は、最盛期の半分以下の規模ではあるが、スキー好きにとって、それはそれで良い面もある。
ピーク時のスキー場はごった返しており、とてもゆったりと滑るような環境には無かった。
リフト待ち30分なんて当たり前。
当時、私は日帰りスキーが多かったが、先輩M氏(AE-86/RX-7のあの人)とは「1日10本」がノルマだった。スキー場のリフト渋滞なんて言語道断である。今ぐらいの方が空いてて良いでないの?
とはいえ、苗場は違った。
このスキー場はあらゆる面で ”凄い”
まず、そのスキー場としてのその規模。
フロントのゲレンデがめちゃくちゃ広い(だからスラローム競技が出来る)。
頂上も高い。そこまで、ほぼ一気に行けるゴンドラが2基も設置されている。
クワッドリフトが多く、その輸送能力は半端ではない。少し行列はできるが、絶対に長くはならない。キャパシティとトラフィックが断トツに高いのだ。
苗場は人も多く集まるが、施設の消化能力が圧倒的に高いため「待ち」のストレスを感じさせないのだ。これは、さりげなく駐車場に関しても同様だ。
とても大切なことであるが、苗場の駐車場は「広い」。
どんだけ混んでも入場出来ないことは無い。かならず、来場者を迎え入れてくれる。
東京からのアクセスが良い。
そして、関越トンネルの手前にある。その割には雪質は悪くはない。
パウダーを見たいのであれば湯沢まで行くしかない。湯沢や津南と苗場を比べれば、その差は明らかだ。しかし、月夜野ICでOKという気楽さは捨て難い。
何と言っても、その気になれば「チェーン無し」「ノーマルタイヤ」で行けるのだ。
ビギナーにとって、圧倒的に敷居が低く、そして ”本格的” なのだ。
そう、苗場が何と言っても素晴らしいのは
「ミーハー」OK
「本格派」OK
であることだ。
オシャレでかつ本格的であるということ。
私は、スキー場選びの基本は、「苗場」にあると思っている。
アクセス、ゲレンデ、リフト能力、ゲレンデ内のレストエリア(これ結構大事)、ホテル施設、そしてリフト券の値段を踏まえ、全体のパフォーマンスでスキー場は評価すべきだ。
苗場のリフト券は、5700円。
果たして、どれほどのスキー場が ”これ” と競争出来るのだろうか…
幸いにも、日本には素晴らしいスキー場が多くある。
私のお勧めも紹介させて頂きたい。
・協和(秋田)・・・町営でこの規模。そしてホスピタリティ
・蔵王・・・やはり行っておくべき所
・ハンターマウンテン塩原・・・アクセスの良さ、そしてオシャレ
・宝台樹・・・近い、コースが多彩
・玉原・・・とにかく近い、広い
・天神平・・・一番速くオープン。12月に滑れる
・サンメドウズ清里・・・近い、お手軽、優しい、子供連れ向き
・菅平・・・広大なゲレンデ、ため息がでる
・八方尾根・・・北海道でなくても本場のスキー場はあるという証明
八方尾根は、映画「銀色のシーズン」の舞台になった。場所柄、関西からの来場者も多い人気スポットだ。文句無し。
苗場基準で見ても、小さなスキー場であっても十分に行く価値のあるものはある。軽井沢は食事やファミリーゲレンデが良くお勧めだ。軽〜く滑りたい人に丁度良い。
今が…旬だ。