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オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

海に棄てられるダイヤモンド…

 三菱自動車がまたしてもやらかした。今回は、燃費データ不正とのこと。

 私は当ブログでこの自動車メーカーを一度こき下ろしたことがある。一方、ランサーエボリューションを例に褒めちぎったこともある。

 このメーカーが好きなのか、嫌いなのか、一体どっちなんだ?と聞かれても困る。どちらでもないから。

 ただ、私にすれば無視すれば良い存在ではない。気になっているからこそ言及している。

 しかし、今回の一件でこの会社の命運は尽きるかも知れない。

 この事件に対する社会の批判の目は厳しい。当然だ。

 繰り返された不祥事であるからだ。

 一体、この会社の組織、内部統制はどうなっているのだろうか。誰もが持つ疑問だ。

 一件には、社内の数名がかかわったと社長は記者会見で述べていたが、そんなことはあるまい。

 相当数の関係者がこの事実を知っていたはずだ。そして、それを隠蔽していた。と私は見る。

 

 あちこちで専門家が軽自動車における燃費競争の激しさ、過酷さに言及している。

 スズキ自動車の開発者インタビュー記事を読んだことがあるが、軽自動車において燃費をほんの数%改善するには、血の滲むような努力をするそうだ。

 エンジン性能の改良だけではなく、ボディの軽量化、駆動系の摩擦低減、タイヤ性能向上等、総合的な技術革新によって初めて燃費性能の改善が成し遂げられる、ということを開発者は言っていた。

 そもそも、軽自動車は燃費が良い。

 よって、その改善は容易なことではないのだ。

 三菱自動車の開発陣に対し、経営者から燃費改善の厳命が出ていたことは容易に想像がつく。開発陣が燃費改良の技術的限界からこの行為に走った可能性は高いと想像出来る。

 いくら、経営陣が燃費データ不正を知らなかったとは言っても、せめて完成車の環境性能が開発側から伝えられた際、その根拠についてはプレゼンを受けている筈だ。

 さもなければ、一方でプロモーションが出来ない。

 新車発表会の場で、如何にして燃費性能を向上させたか、について幹部が取材側に説明出来ないではないか。

 で、あるから、改ざんされた燃費性能の根拠について、経営者は開発者からエンジンでXX%、軽量化でXX%、駆動系のフリクション低減でXX%と、具体的な改良の内訳を説明されている筈だ。

 そして、各開発セクションは、経営者に説明した燃費改善の根拠となるデータを持っている(捏造している)はず。

 

 つまり、社長が記者会見で言ったように、ほんの数名の悪事によっては、燃費データの改ざんはできない。

 VWの例がそれを示している。

 VWの不正が発覚した際、日産のカルロスゴーンCEOは「多くのスタッフがかかわっている可能性がある」と当初から言っていた。

 それは、自動車の開発が多数のユニットに分けて行われており、故に、新型車の最終性能はユニットの総合力で決定されるからに他ならない。

 つまり、極論すれば新型車の性能改善は単独のユニット、チームだけではなし得ないということ。

 不正があれば、関係部署全てがそれに気がついていてもおかしくないのだ。皆、その道のプロなのだから。

 おかしいものはおかしい。それが分かるのがプロの技術者だ。

 残念ながら、三菱自動車の内部統制はガタガタであると断言せざるを得ない。

 「不正は一部の邪な思想を持った異端児が起こしたものであり、多くの社員は真面目に業務に精励している」との評論は、感情論に過ぎないかも知れない。

 恐らく、今後、多くの消費者は三菱の車には手を出さないだろう。

 

 リコール隠しの際には、三菱グループが総力をあげてこの自動車会社を救済した。

 善し悪しは別にして、さすが ”スリーダイヤ” と思わせたものだ。

 今回は、どうなのであろうか…

 この会社を救済する意義は、三菱グループとして未だ存在するのだろうか。

 私は三菱にはかかわりの無い人間なので、これについては想像もできない。

 この事件に対し「三菱にとどまらず、日本の自動車メーカー全てのブランドが失墜する恐れすらある」との危機感を表明した政府関係者もいる。

 で、あれば三菱グループとしても安易な救済処置は躊躇われるだろう。

 

 ゴルゴ13に「死闘、ダイヤ・カット・ダイヤ」というエピソードがある。

 ここに出てくる「アングロ=デ・ロアズ社」は、ダイヤモンドの産出から販売まで独占している巨大カルテルである。

 ロアズ社は、世界中で産出されるダイヤモンドを全て買い取り、一部を余剰ダイヤとして地下の金庫にストックしたり、あるいは海中に投棄することで、ダイヤモンドの希少価値を創り出している。

 ゴルゴ13は、ロアズ社の会長ソロモンの所有する1050カラットの巨大ダイヤの狙撃を依頼される。

 「ダイヤを傷つけるにはダイヤ以外になし」と比喩される地上最強硬度を持つダイヤモンドにあっても「分子凝集力の最も弱い箇所に鋭い衝撃を与えると破壊出来る」と加工職人のワイズコフは言う。

 結果、ゴルゴ13は巨大ダイヤの破壊(狙撃)に成功する。

 1050カラットのダイヤモンドが空中に飛び散るシーンは見事な描写で描かれている。

 

 日本製品のブランドを守るため、あるいは治療不可能な不治の病に冒された病巣体として、ダイヤモンドは海に棄てられるのだろうか、それとも砕かれるのだろうか…