オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

古戦場にて

 休日を利用して帰省した。

 慣れた東名高速、新名阪道の往復である。しかし、ニュースもある。今年2月に新東名高速の浜松いなさIC〜豊田東ICが開通したことだ。

 これにより、御殿場ICから伊勢湾岸道路までが一気通貫になったので、さっそく走ってみた。

 ゴールデンウィーク中の旅程であったが、大きな渋滞に巻き込まれることもなく、極めて快適なものであった。

 東西を結ぶ大動脈ともいえる主要道路の整備は、利便性はもとより災害時のバックアップ、経済波及効果等、さまざまな利益を関係地域にもたらすことだろう。

 正直、人口減を予測される日本において、東京・大阪間にもう一本の高速道路が必要なのか疑問を持つこともあったが、いざ完成して利用するとその利便性の良さには感心してしまう。

 脱帽だ。

 

 新東名の売り物の一つは、21世型のSA(サービスエリア)が挙げられる。

 永らく高速道路SAの店舗群は、道路公団のファミリー企業が独占してきたが、いつからか規制緩和が行われ、今ではこれにまで無かった多様なお店が立ち並んでいる。

 もちろん、これは良い意味だ。

 以前のSAで摂る食事は、拷問のようなものだった。

 高い、不味い、サービス悪いの3拍子が揃っていた。

 SA、スキー場の食事と言えば、カレーと蕎麦が定番。最低だった。

 それが、今は値段は相変わらず高いが、モノ・味は格段に進化した。これであれば、特定のSAでの食事を狙って旅行する人がいても不思議ではない。旅行の楽しみが増えたと率直に評価したい。日本も棄てたものではない。

 今回、浜松いなさIC〜豊田東ICを走ってみたのであるが、ここには岡崎SAと長篠設楽原(ながしのしたらがはら)PAが新設されている。

 せっかくなので、2つとも立ち寄ってみた。

 長篠設楽原PAは、その名が示す通り、古戦場として有名な長篠にある。それも、下りのPAは、織田・徳川連合軍が本陣をおいた茶臼山のすぐ隣に造られている。

 これは、たまたまなのか、それとも「このエリアにPAを造るのであれば茶臼山の傍にしよう。その方が話題になる」と考えたのか。

 後者であれば、素晴らしい発想だと思う。

 このPAは、入るとすぐ幾つかの昇りの旗に気がつく。見てみると、織田、徳川の昇りだ。しかし、それだけではない。

 六文銭の旗もあるのだ。

 なるほど、確かに真田も武田家の家臣であった。大河ドラマに因んでのことかもしれないが、長篠であればこそ出来る企画だ。

 因に、下りのPAは、織田・徳川を、上りは武田をモチーフに建物がデザインされているとのこと。上りのPAは下りに比べるとやや小さめだった(両方行った)。

 PAのお店はアイデア満載だ。ともかく面白い。楽しい。

 食事・買い物・観光の3つが同時に楽しめる。

 これは、新しいSAの楽しみ方の提案でもある。PAでも無ければ、この地に立ち寄ることも恐らく無かったであろう。

 どうせ造るなら、SA・PAも楽しくあったほうが良いに決まっている。

 諏訪湖浜名湖のSAは、その立地だけでも十分に意義があるが、風光明媚でなくても楽しめることを長篠設楽原PAは示している。

 新しいSAの登場を素直に喜びたい。