18歳への難問
参議院選挙は7月10日が投票日となった。
先の国会閉幕直後の首相記者会見での表明により、与党側の選挙争点は「消費税増税の延期」を是とするか、非とするかだ、と定義された。
増税延期は、経済の客観情勢から見て恐らく妥当な判断なのだと思う。相当前から専門家の一部の方々は「延期」を提唱されていた。
政府は認めなかったが、2014年4月の8%への税率引き上げの影響は相当なものだったようだ。このままの経済情勢で10%への引き上げが実施された場合、景気への打撃は致命的なものになったことだろう。
アベノミクスの正否は、こういっては何だが、もうどうでもいい。
日銀が如何なる金融政策を打ち出そうと、政府がどれだけ土建屋に仕事を与えようと、一般消費者の家計には何の福音も与えないということが、自明ではあったが、安倍政権下で改めて証明されたということだ。
今後、「・・・〜ミクス」という訳の分からん恥ずかしい政策名を使う総理大臣は2度といないであろう。
これまで本当に恥ずかしかった。
さて、今回の参議院選挙から、選挙権が18歳にまで拡大される。
若い世代の投票率がどうなるのか、少し興味がある。
恐らく、20歳と18歳の投票率に大きな差が出るとも思えないが、ともかく彼らがどのような判断をするのかは興味がある。
しかし、彼らにとってはいきなりの難問であるとは思う。
自民党が勝てば(連立与党で過半数確保)、臨時国会で延期のための法案が出され、消費税はめでたく2年半、延期となる。しかし、公約を守れなかっただけでなく、自らの政策失敗を認めようともしない「嘘つきの政権」を支持することを意味する。
一方、現政権を否定するのであれば、どこかの野党に投票せざるを得ない。
しかし、統一名簿すら作れない野党に政権交代の夢を託す楽天家、というか、愚か者は恐らくいまい。
18歳の彼らは、いきなり究極の選択をしなくてはならない。
どこに投票しても、意思表明としてはろくなものではない。
よくよく考えれば、どの政党も支持するに足りないのだ。
カレーみたいなウンコとウンコみたいなカレー、どちらがいい?と聞かれているようなもの。ふざけるな、と彼らも言いたいと思う。
そして、このことが若い世代の絶望、虚無感、政治へのシラケを誘発している。
私達はこんな社会の状況を放置していて良いのだろうか。
あんなアホな政治家をこのまま生息させておいて良いのだろうか。
東京都知事の記者会見を見て、皆、何とも思わないのだろうか。
「新しい判断」と公約破棄の違いは何なのか。高校生にも分かるように説明する大人はいないのか。
ある世論調査によると、増税延期の賛成/反対は各々30%程度で拮抗している。
しかし、問題は残りの40%近くが「どちらとも言えない」と回答していることだ。
どちらでもない?
それを思考停止というのだ。
考えていない。
この40%の人間は恐らく投票には行かない。公民権を放棄する。どうでも良いと思っている無責任な大人たちだ。
このようなアンケート結果を世の大人たちは恥ずかしいとは思わないのか?
この国の美徳は死んだ。
そう、「この国はすでに死んでいる」のかも知れない。
「日本、死ね」と言われるまでもなく…