その日のあと〜The Day After〜
ザ・ディ・アフター(The Day After)という映画がある。1983年に製作されたUSAのTV映画だ。
「その日の後」という題名であるが、その日とは核戦争のあった日のことだ。
この映画のストーリーは、米ソ冷戦下においてNATOとWTOの衝突により核戦争が起きるという、当時ではさして珍しくもない想定の、ある意味で平凡なものだ。
この映画が異例であるのは、”強いアメリカ”を国の基本政策に掲げたレーガン政権下において、USA自身によって「核兵器の恐怖」「放射線(能)の脅威」を赤裸々に描いている点だ。
当時のUSAの人々は、放射線は水で洗えば落ちると信じていたそうだ。被爆という事に対して相当無頓着であったらしく、この映画で、核戦争後に人々が受ける健康被害・苦難の様相の描写は大きな反響があったらしい。
広島・長崎への原爆投下は、戦争の終結に有効であった。地上戦を避けた事により、結果として多くの日米の人命が救われた、という理屈を持っているUSAが、このような映画を製作したことに大いに驚かされた。
あの国のジャーナリズムは非常に骨太だ。
最近気が付いたのであるが、You Tubeでこの映画を見る事ができる。どういう経緯でUPされたのか分からないが、DVDが入手できない今、貴重な映像である。
相当に凄惨な描写がなされており、見るのが辛い部分もある。
しかし、”核”という新たな火を手に入れた人類へ、自戒を促す強いメッセージ性が込められた作品である。
これが作られたのは、今から30年近くも前だ。
現在のUSAのプレジデントは、核兵器廃絶を訴える演説を旧東側陣営であるプラハで行った。
とても、印象的なことだった。
日本には”その日”がある。
私は彼を信じたい、と思っている。