プロ野球の『見せ方』に見る怠慢
プロ野球のTV中継を見ていて、つくづくワンパターンでつまらないと思うようになった。
投球シーンは、どこの局も決まってセンターカメラだ。
ピッチャーが投げた後は、転がったボールを1塁スタンド側、あるいはバックネット側から映して、取ったらファーストに投げておしまい。
もう、何10年間、このパターンを見ているのだろうか。野球がそのような競技だとしても、それにしてもつまらない。
ずっと前は、バックネット裏から金網ごしに投球シーンを撮っていたが、望遠で撮れるようになって以来、どこの局も決まってセンターカメラだ。
つまらない・・・。
それも、このカメラ、少しレフト側にオフセットしているから、ストライクゾーンがずれて見える。頂けないね。
メジャーリーグの映像を見ると、完全にセンターから撮っているのがわかる。こちらの方が、圧倒的にピッチャー目線でいい。何でこんな簡単なことができないのか・・・。
ピッチャーの球筋、球速を実感するのであれば、バックネット裏から撮った方がリアルなはずであるが、それでも、いつも決まってセンターから。
松阪やダルビッシュの高速スライダーはセンターからでも凄い減速と屈折をしていることは分かるが、バッター目線で捉えた方が、より迫力があると思う。
思うに、球団、TV局双方とも野球関係者は、その人気にあぐらをかいて、PRや面白さの演出を怠っていると感じている。
野球というスポーツの奥の深さは、ピッチャーとバッター中心のアングルのみでゲームを捉えていたのでは、お茶の間のファンには肝心な部分が伝わらない。
ランナーが出たときの守備陣のフォーメーションの変化、連係動作、打者毎のちょっとしたポジションの移動、サインプレーなど。
TVでそれを解説しない解説者もイマイチだ。これらは、球場に行って見ていると、素人の私でもそれとなく分かる。だからこそ、球場まで見に行こうと思う。
関係者は、何で、お決まりのアングルでばかりではなく、もっと撮り方、見せ方を工夫しようとしないのか。
TVの試合結果の編集番組はもっとヒドイ。ピッチャーとバッターの顔や上半身を映したカットを並べて、ナレーションで試合経過を説明している。
誰が、選手の顔見たいと思うのか?(女性ファンはそうかもしれないが)
ボールの軌跡が見えない野球の画像に何か意味でもあるのか?
ともかく、プレーの醍醐味を見せようとする意識、ここぞというとっておきの野球の魅力を見せようという意識が関係者に極めて希薄だ。まあ、局はどうでもいいと思ってるんだろうけど。
恐らく関係者は、余り深く考えずに、従来から惰性でプレーを見せているのだと思う。もっと、面白い、楽しめる映像が撮れるのにそれをやろうとする工夫がみられない。
残念なことだ。
これでは、サッカーファンは増えても野球ファンは減るばかりだ。関係者は、何も工夫をせずに人気低下を嘆いている暇があれば、どうやれば、エキサイティングでスリリングなシーンを撮れるのか考え直した方が良い。
再度言う。もう飽きました。
でも、最近、ほ〜っと、感心したのは、アンパイアにカメラをつけた事。これは、相当迫力がある。この映像は、もっと流すべきだ。
私が企画サイドにいれば、バックネット裏、レフト・ライトのフェンス、ホームとセカンドベースにカメラを埋め込む。それから、ホームベースは真上から撮る(これは甲子園球場で設置済みだが、あまり使われていない)。
これらのカメラはクロスプレーをリアルに写し、選手がどのようなタイミングでスチールをかけるのかを捉えると思う。外野フェンスのカメラは、守備目線で打者の鋭い打球を捉え、それに追いつくまでのスーパープレイを捉えると思う。
せめて、設置位置からダイナミックにカメラアングルが変えられるような専用カメラを開発する位の熱意が欲しい。
30年間、何もアングルを変えずにただ撮っただけの映像を流すその無神経さが、このプロフェッショナルスポーツの凋落を間接的に導いたのだと思う。
本当は面白いのに、面白くなく見せている。
選手の努力がもったいない。
追伸:
ここで指摘する”プロ野球関係者”とは、読売巨人軍+日本テレビ+報知スポーツ等の企業グループをさしています。中日ドラゴンズも同様のグループを形成していますね。