「大局観(最終回)」
経団連の爺さんが、中国に渡った。
ドラゴンは、日本の政治家はダメでも、経済人には会ってくれるようだ。
経団連じじいは、「政府の”領土問題は存在しない”という姿勢はいかがなものか。もっと、柔軟な姿勢で外交に臨むべきだ」という旨の発言を現地でなすっている。
お気楽なもんだね。
あの人達、お金が絡むと行動力も発揮するし、企業人のくせに堂々と政治に絡んでくる。経済活動の活性化だけが国益に叶うと考えているようだ。
原発再稼働についても、経済性一辺倒。安全対策、リスクマネジメントは二の次。歴史に学ばない愚かな老人・・・。
今、日本と中国は、武力を行使しない戦争に突入していると言ったら過ぎるだろうか。恐らく、政治家はそこまで深刻に捉えていないと思う。財界もだ。
私は、この冷えた2国間関係は相当長期にわたって継続すると思う。見掛けは沈静化したように見えてもね。
中国の経済制裁は、日本だけでなく自らに跳ね返るものであるから長続きしない。やがて、向こうから折れてくる。
・・・と読んでいる評論家も多いようだ。
両国にとって、このような状況にメリットは何もないから、論理的に冷静に判断すれば、誰だってそういう結論に行くつくはずだ、気が付く筈だ、と。
理論的には、そうだ・・・。しかし、ここでドラゴンは理論で動くか?
あの国の経済損失は確かに大きいであろうが、日本も負けないぐらい被害を被っていると確信したら、さらに徹底的に叩いてくる可能性は無いか?
だって、今、経済の体力勝負をしたらどちらが勝つんだ?日本は相当まずくないか?
このまま、ドラゴンの経済制裁(今後も広範囲になっていくと想像する)が続くと、現地法人・生産拠点を持つ多くの日本企業は、大打撃を受ける可能性がある。
それは、いずれ、企業業績悪化に繋がり、株価の下落を招く。万一、雇用問題にまで影響が出始めると、国内世論は俄然、現政権に非難の矛先を向けると思う。
今だって、300万人を超える失業者がいる国だ。
これ以上、政治失策によって失業者が増えると、社会情勢だって悪化してもおかしくはない。今の日本は、経済情勢悪化が社会不安を煽る事だってあり得る。脆弱なのだ。
今のような状況(経済制裁)が、例えばあと30年くらい続いたら日本はどうなるだろうか?
日本は、この先も人口が減り続けるらしい。
経済力の低下に留まらず、総合的な国力の弱体化は、止まらないだろう。
一方、ドラゴン国はどうか。
あそこは、既にGDP世界2位になっている。そして、成長は鈍化したというがまだまだ伸び代がある。
通貨は固定相場で輸出産業に極めて有利な状況にあり、労働コストは未だ世界的競争力をもっている。日本との取引を止めても、その分を他でカバーする余地はありそうだ。
そして、輸出はまだまだ伸ばす余地がある。そして、それが飽和すれば次は内需がある。
人口の規模からしても、内需拡大に振り向ける経済パワーは莫大だ。そして、内需に目を向ける頃には一人当たりGDPも、日本に並ぶ水準になっているだろう。その頃には、真に豊かな国になっているということだ。
日本との経済戦争によって、たとえ、数年間経済が低迷しても、あの国には政府を非難する団体がない。国民世論も封殺されたままだ。だれも、政府を突き上げ、非難する事などできない。
貧富の格差が拡大し、貧困層がいかに惨めな生活状態に陥っても、政府はこれまで同様、無視すればいいだけだ。誰もそれを咎めたりはしない。
そして、国民の不満が溜まってきたように見えたら、日本にまた攻撃の矛先を向ければ良い。ガス抜きは簡単だ。
その辺りの立ち振る舞いは、我が国の政治家より気が楽だ。
内政に気を揉む必要が無いのだから。
日本に対し、気が済むまで長期的経済戦争を仕掛ける事ができる。
日本はそうはいかない。領土問題が経済情勢にマイナスの影響を与えると、政権が持たない。
つまり、Economic Warは、ドラゴンにとっては何でも無い戦いであり、モンキーにとっては死活を左右するものなのだ。
この戦いは、我々にとって明らかに分が悪い。向こうは持久戦を仕掛けられる。
私達は、持久戦には耐えられない・・・。
「大局観を持って行動すべき」
これは、我が国の政治家が相手に向かって言った言葉だ。
相手が、本当に”大局観”を持って経済戦争を仕掛けてきたら、・・・一体どうするつもりだ?
大丈夫なのか、NODA・・・。