”解散”もなければ、integrityもない
「近いうちに解散する」と言ってから、結構な時間が過ぎた。
あれは確か、夏の頃ではなかったか。
今週になって、朝は相当涼しくなった。いや、寒くなった。
日中は日が射していれば暖かいが、そうでもなければ、秋というよりは、冬が迫っている事が実感できる。
”解散”は、議院内閣制をとっている日本の政治制度の中にあって、総理大臣が有する絶対的権限だ。
共和制ではない我が国において、総理大臣のもつ権限は、実務面を捉えれば意外と狭いと言われている。県知事の方が、よっぽど王様のように振る舞えると聞いた事がある。
その総理は、3党合意の密室の中で、一体どのような約束を谷垣/山口氏としたのであろうか。常識で考えて、「早いうちに解散するから」というような曖昧な表現で、党代表者が引き下がれる訳が無い。
そんなことでは、党に帰ってから「お前は子供の使い以下だ!」と派閥領袖、総理経験者、実力者から言われ、責められて、見放され、そこで総裁であることはもとより、政治家生命自体が終わってしまう。
あり得ないだろう。
大っぴらに言えないだけで、何らかの密約がなされていなければおかしい。一方、伝家の宝刀を差し出す総理大臣はいるのであろうか?
公明党の山口代表は、見た通り、大変クレバーな人だ。あの聡明な人が、むにゃむにゃした約束で引き下がる訳が無い。
あの3人は、”消費税”と一体”何”を天秤にかけたのであろうか。
謎だ。
しかし・・・。
もう、年内解散はない、という。
1月以降の解散の方が、石原閣下の新党参画者を含め、第3極の議員皆さんは都合がいいらしいが(政党交付金の支給基準は1月1日時点での議員数である)、NODAは間接的にそれを支援する事になる。
これも、輿石氏の策略か?あの人は、NODAから見て、味方なのか敵なのかよく分からんね。
いずれにせよ、谷垣さんという人は、よっぽどのお人好しだ。今時、極めて珍しい、人の良い政治家なんだろう。いずれ再評価されるのは、”どじょう”ではなく、この人の人間性かもしれない。”加藤の乱”の時も、この人の人間味が思いっきり出ていた。
それに引き換え、”どじょう”の人間性と来たら・・・
昨年、integrity、真摯さ、という言葉が流行った。そう、”もしドラ”の影響だ。
政治家にとって、絶対的に必要なその素養を、政治家としての最高位にいるあの人は有しているのであろうか。
少なくとも、あの場にいた、2人の代表者は”それ”を信じた。
そして、それが故の現状である。