隕石落下を心配する必要はない
今朝からニュースは、ロシアに落ちた隕石の話題で大忙しだ。
折しも、グアムで凄惨な通り魔的事件があったのだが、それをかき消すほどの勢いだ。それはそれで理解できる。
これは、とても珍しい出来事なのだ。要点は、専門家の方がコメントしているので、細々私が触れる必要はない。
要するに何が珍しいかというと、今回より小さい隕石(小惑星)であれば、単なる火球、流れ星となっていつものように取り扱われてしまっている。いや、取り扱われさえしない。もし今回より大きいものが落下していれば、世界のどこに着地していても、地球上の多くの生物が絶滅してしまうほどの大きな被害をもたらしている可能性があり、その時は誰もこのことについて評論することはできない(誰もいないから)ということだ。
今回、たまたま、私達が大騒ぎをするのに都合のいい大きさの小惑星が落下してきたというのが今回の事件の特質だ。
私もYou Tube等で見たが、あの映像には心底たまげた。
以前に見た映画「Deep Inpact」の映像にそっくりだ。
恐らく、あのような大規模な隕石を、大気圏投入後の映像として捉えたものは初めてではないだろうか。ロシアの怪我をされた方々には大変申し訳ないが、私達にとっては、本当に珍しい映像であった。
恐らく今後、このようなシーンを再度私達が見ることはないと思う。次にあった時は、人類滅亡の時かも知れない。
昨年の金環食に続き、日本に住む私達は、天文観測の面で大いなる幸運に恵まれている。
”なんとか座流星群”如きで騒いでいる人には分からないかもしれないが(あれは毎年見れるのよ)・・・。
今回の一件で傑作なのは、やはりマスコミの騒ぎ方だ。
「このような事態を予測できなかったのか!」
「何故、事前に観測できなかったのか?」
「日本の観測体制はどうなっているか?」
「もし、日本に落下したらどうするのか!」
「どうやって事前に察知するかが課題だ!」
・・・
本当にアホとちゃうか。
騒ぐのは仕方ないが、その中身がほとんど小学生レベルだ。
やはり、新聞社、TV局には理系がいないのか?
「このような事態をどう避けるかが課題だ」と言っている人に聞きたいのだが、直径20mもない岩石をどうやって望遠鏡で補足するのか?
小惑星(隕石)は、夜中でも自分で光を出して飛んでいるのか?
自分で光っていないのであれば、人工衛星と同様、日没後の一定の時間帯でないとどこからでも見えるとは限らない。
あんな微小な物体を四六時中、全方位にわたって観測することが現実的にできるとでも思っているのだろうか。
例え、たまたま望遠鏡で見つけたとして、秒速18Km超(毎時64000Km)で大気圏に突入した1万トンの岩石を何を使って迎撃するつもりなのか?
Fー18ホーネットで?
それは、どこの基地から発進させる?それって、望遠鏡で見つけてからのスクランブルで間に合うのだろうか?
迎撃はどのような兵器を使ってやるのか?
今回、隕石は大気圏中で粉々になって、バラバラの破片に飛び散った。
その破片が地上に当たっただけで、あの規模の爆発が起きている。
超音速で大気中を燃えながら突き進む隕石本体にミサイルを打って破壊できると思っているのか?そもそも、ミサイルが命中すると確信しているのだろうか?
何をどう考えても、迎撃なんて今の技術では無理。
例え事前に観測・察知できたとしても、私達に何も打つ手はない。ただ、運命を受け入れるだけだ。
SFの話ではなく、天文学的イベントにおいては歴然とした事実がそこには存在する。ことによっては私達の智慧では何をどうすることも出来ないものごとはある。その時は、”必死”しかないのだ。
そのこと、科学的根拠と事実を正確に伝えることもマスコミの役割であると思う。
「どうやって対策するか」ともっともらしいことを言う前に、”事実”を認識し正視すべきだ。評論はそれからだろう。原発問題も然り、だ。
口先ばかりの根拠の乏しい喋りを”報道”としてしまっている日本のマスコミに寒気がする。
日本のマスコミに知能はないのか・・・
【一度くらい自分の目で確かめてみたら?】