オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

由比ケ浜を売らないでほしい

 鎌倉の3ビーチが命名権販売にかけられたそうだ。

 上記3海岸には年間で100万人以上が訪れ、維持管理には4000万円以上がかかっているとのこと。

 そんなに大変なんだ・・・。

 以前は、ビーチで夜な夜な花火をして騒ぐ輩がいると近隣の住民が苦情を言っていた。

 自治体にとっては、観光名所は大きな経済波及効果をもたらしてくれる。しかし、維持にはそれはそれで相応の苦労が伴っていて、単純な便益計算では納まりきらない、という事を改めて認識した次第。

 そう言えば、多摩川の河川敷も一部の場所は有料との事。BBQのやり過ぎらしい。ゴミだらけになっているそうだ。

 鎌倉の海岸は風光明媚で、とても素晴らしい。

 私も時々、目的地を定めず、ふらっと車で流したりする。

 夏を外せば、それほど道が混んでいる訳ではない。あの海岸線を走りながら海風を浴びるのは心地よい。

 何とか上手い維持手段を考えたいものだ。

 

 しかし、名前を売ってしまう(正確には命名だが)というのも如何なものか・・・

 腰越、材木座、由比ケ浜は、地元の人にとっては相当愛着が深い筈だ。江戸っ子で例えれば、深川、浅草、神田という地名を売りに出すのと等価ではないか?

 私は、サーフィンをやらないので材木座という地名に強大な拘りは感じない。

 しかしね・・・、サーファー達は悲しむんじゃないかな。

 それとも「名前なんか、どうでもいい。俺が見ているのは波だ!」とか言うのであろうか。いや、だったら九十九里に行くだろう。そちらの方が良い波が来ていると思う。

 材木座の波は「さざ波」だ。それでもあの海岸にサーファーが殺到するのには理由がある筈だ。

 彼らはきっと”材木座のサーフィン”を気に入っているんだと思う。それは、それで善きことだと私は感じる。

 その気持ちは何となく理解できる。そう思わせてくれる場所なのだ。

 腰越海岸からは、江ノ島が真ん前に、間近に見える。

 私は、あそこで海水浴はしないが、よそから来た人が「湘南で泳ぐ」と言うのを「腰越」と解釈していても一向に構わない。

 確かに、あの界隈は江戸の頃から景勝地として愛されてきた歴史・事実がある。あの喧噪は少しうるさ過ぎるとは思うが。

 そして、由比ケ浜。

 やはりこの海岸が一番好きだ。

 あの海岸の砂浜に腰を下ろして、じっと夕日を見ていると心が落ち着く。

 沖には、ヨットやウィンドサーフィンの幌が見える。風が心地よい。潮の香りがする。

 あの”佇まい”が鎌倉のもつ魅力であり、何ものにも代替出来ない価値観なのだ。地元の人達はそう強く感じている筈。

 鎌倉も小京都なのであろうか。

 で、あれば京都同様に、よそ者に対する排他的感覚があってもおかしくないだろう。

 「ここは、私達の街だ。昔からの都だ。外からズカズカと入ってきて勝手な振る舞いはやめてよ!」と言いたいかもしれない。

 果たして、観光地としてのブランドを維持する為に、命名権を売るというのは、地元の方にとっては本末転倒ではないのか?

 腰越、材木座、由比ケ浜、この名前が表すものが、一体何であるのかを今一度考えてみたくなった。

 

パナソニック・ビーチ

・日産海岸(トヨタ海岸も同じ)

・モバゲー・ビーチ

・スリーダイヤ海岸(鎌倉には三菱電機がある)

・YOMIURIビーチ

・AJINOMOTOビーチ

・ビーチ日本精工

・ザ・海岸・いすず

・ユニックロ海岸

楽天ビーチ

 

 ・・・どれも気持ちが悪い。

 気分が悪くなってきた・・・