オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

労働組合は持ち場に戻りなさい

 もう随分、前のことであるが、メーデーデモ行進に参加したことがある。関係者から頼まれて。バカなことやってるね〜、と言われそうだが物事は何でも経験しておくべきだと思って・・・。

 初夏の天気の良い日に、いつもは到底歩けない東京の道(表参道とか)を、堂々と、おまわりさんに護ってもらいながら行進するのも面白いものだよ。

 沿道の子供たちがこちらを指差して見ていたけどね(恥ずかしかった)。

 今でも、行進やってるのかな。

 すっかり、ニュースネタにもならなくなった。

 前に経団連の「情けなさ」について指摘したが、その存在意義、実効性の面での「残念度」では、連合も良い勝負をしている。とかく、政治に首を突っ込みたがるナショナルセンターであるが、自民党の政権復帰が成ったのであるから、もうその役割はない。完全に用済みだ。

 本来の労働者の生活改善のための活動に回帰すべきだ。皆、そのために組合費を払っているんだから。

 政治ごっこに付き合ってくれていた民主党も恐らく次の参議院選で国民からとどめをさされることと思う。恐らく限りなく消滅に近い状況に追い込まれるだろう。

 私達は「ひと時の夢」(悪夢かもしれない)を見ていたのだと思うことにしよう。

 自民党の暴走を止める手段は別途考えるしか無い。公明党が連立にしがみついている間は、そんなに極端な方向には行かない(行けない)と思う。早いとこ、第3極を第2極に育て上げなくてはならない。

 しかし、それが、あの口の悪い市長や右翼ジジイの率いる政党であるかは、まだ断言できない。国民は、一時期の熱狂、期待から覚めつつある。まちがいなく・・・

 

 連合だって、全く何の役にも立たなかった訳ではない。

 「男女雇用機会均等法」の制定や、80年代後半の「労働時間短縮」の取組みについては、日本の労働運動に”世界の常識”を取り込んだという点で、大いに評価されても良い。

 あの頭の固い団塊世代が、よくも「女性の活用」や「たまにはゆっくりと休もう」などという絵空事を真面目な顔をして言えたものだと感心している。そして、絵空事ではなく、そこで一定の前進を図ったからこそ今の労働条件がある訳だ。

 昭和の頃を考えれば、給与はともかく、休日・休暇制度、育児・介護に関する勤務制度は(法的には)相当に改善されている。中小、零細企業においては、まだまだであるが、少なくとも大手、上場企業においては、女性の社会進出はこの30年間で相当に進歩した。

(今の若い人には信じられないかも知れないけど、昭和時代の会社では、女性は”お茶汲み”をさせるセクハラの対象物だったんだよ。ウソだと思うならお父さん/おじいさん(60〜70歳くらいの人)に聞いてごらん)

 あくまでも、”昭和”と比較してのことだが。

 しかし、政府・経団連や連合は、”頂けない”ことも今考えているようだ。

 例の「解雇ルール制定」のことだ。

 日本は世界で類を見ないほど”解雇”が難しい国なんだそうだ(私は世界を知らないので、それがホントかどうかは分からない)。

 だから、雇用情勢の改善、人材の流動化促進、企業内での人材の有効活用を図る為に、「いらん」人をもっと簡単に解雇できるようにしよう、と言うことらしい。

 政府の狙っていることを一言で表すと「退職金を多く積めば指名解雇してもいいよ」か?

 これにより、企業はリストラ(人員対策)をやり易くなる。

 忙しい(景気の良い)時は、ガンガン人を採用し、不況になったら”いらん”と思う人をバシバシ解雇する。

 これによって、日本企業の国際競争力はホイホイ高まり、おじさんは居なくなり、若い人達が仕事にありつける、というスーパーナイスなアイデアだ。

 この政策を評価する有識者は、意外といる。

 

 バカだね。

 また、USAの真似をするつもりのようだ。

 私はこの政策により雇用の流動化など起きないと思う。経営者が楽しくリストラをできるようになるだけ。全企業が「ユニクロ化」するだけだ。

 世の中、そんなに単純な仕掛けにはなっていない。

 失業率がさらに上昇すること、間違いない。単に正社員が減り、非正規雇用者が増えるだけ。百害あって一利無しだ。

 そんな理屈が正しいのであれば、例えば、専業主婦の税制優遇(配偶者控除等)を廃止したのだから、女性の労働者が増える(専業主婦が働きに出る)、というような現象も期待できるはずだが、実際はそんな劇的な変化は起きていない。

 日本の労働法制の硬直性は、確かに問題・課題を内包しているかもしれないが、その解決策にしては、いくらなんでもこの話は乱暴に過ぎる。

 小泉政権における労働者派遣法の見直し(一種の規制緩和だった)が、その後の派遣労働者非正規雇用者の爆発的増加を生んだのだ。規制緩和が全てポジティブな効果をあげるとは限らない。政治家は、また、あの時と同じ過ちを繰り返すつもりなのであろうか。

 ここは、労働組合、連合の出番だと思う。

 連合にとっては、新しくも古いテーマだ(以前から論議があった)。

 経団連の口車に乗ってどうする?あんた達の役割は「雇用の維持・改善」だ。

 やろうとしていることが真逆でしょ!

 「いつ、労働運動するの?」「今でしょ!

 

 関係者達は、早く自分の持ち場に戻り、生業に励むべきだ。

 真面目に働く人達が望んでいるのは、今は「政治への参画」ではない。

 「安心して働ける社会の実現」だ。

 (今日のゆず、まじめ・・・)