未来のない空港
「羽田空港の国内線と国際線を結ぶトンネルを建設し、乗り継ぎの利便性を向上する」
来るべき2020年、東京オリンピックに向けた新たなインフラ整備が羽田空港で開始されるとの事。
現在、羽田での乗り継ぎは主に京急線、あるいは空港内移動用バスで行われているので、国際線利用者にとっては相当な利便性向上が期待できるものと予想する。
それにしても、羽田空港は広い。広すぎて、移動に困るのが現実だ。
特に有事の際、JALとANAの搭乗切り替えなどやろうものなら、空港内のとんでもない距離を大きな荷物を持って移動させられることになる。
この空港は、最新設備の整ったものであることは間違いないが、第1/第2ターミナル間の移動は、決して「バリアフリー」とは言えない。
高齢者、ハンディキャップを持つ人、小さな子供を連れた人々にとって、この空港は冷徹だ。7年後に向けて、さらなる進化を期待したいものだ。
それにしても、頂けないのは「成田国際空港」だ。
この空港は、あらゆる面で ”最低” の空港だ。
まず、何と言っても都心からのアクセスの悪さ。閉口する。
東京から、「しっかり」と1時間。横浜からだと早くとも1.5時間だ。
外国からの旅行者は、重いサムソナイトケースを持って移動するのだから、飛行機を降りてからの苦行に面食らう事だろう。
USAや欧州から来る人たちは、少なくとも10時間以上も飛行機に乗って日本にやってくる。日付変更線を超えることで疲れ果てた上に、その後のご苦労を推察すると、申し訳ない気持ちで一杯になる。
やはり、本来であれば、成田ではなく、羽田を「ハブ空港」とすることが ”常識” だろうし、国益に叶い、かつ効率的だと思うのであるが、政治的にはそうもいかないらしい。
千葉県の某知事は羽田のハブ空港化に大反対している。「成田」に将来など無いにもかかわらず、だ。
成田空港の拡大など、もはや不可能だ。
いまさら、成田〜東京間に新幹線やリニア新線がひかれる事も現実的ではない。あそこは、都心に最も近い「陸の孤島」。
現在の国際線発着便数は、おそよ20万回/日であり羽田の国内/国際線を合わせたものの約半分程度だ。羽田は、今後、9万回/日程度の国際線発着数を見込んでいる(今は6万回程度)。
国際線専用空港のくせして、羽田の2倍程度のトラフィックしかなく、それも将来の拡張性はゼロ。そして、先ほども言った絶望的なアクセスの悪さ。
日本がいかに「グローバル」の反対を行っており、「ドメスティック」な事情で運輸行政を行っているかを如実に表している。
外国旅行者だけではなく、全てのステークホルダの利便性を考えれば、「成田」ではなく、「羽田国際空港」しか選択肢はない。
しかし、政治上、歴史的経緯から、それは「出来ない」。
だ・か・ら、この国の行政はダメだと言われるのだ。
二言目には「グローバル」と政・官はのたまうが、現実は「観光」インフラひとつとっても ”昭和” の遺物を抱えて身動きがとれない有り様。
一方で、不要な空港をあちこちに建設している。利便性・採算性を度外視して。
あんなもの、博多空港の利便性を体験した後では誰も使う気になれない「無用の長物」だ。使う気になれないのだから、採算など取れる訳も無い。
「未来」は見えてこない。
今日も成田からは、多くのトラベラー達が旅立っているが、それは「未来のない空港」からだ。