オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

TVドラマは「まどか☆」に勝てない

 「魔法少女まどか☆マギカ」とかいう映画が評判らしい。

 以前、某雑誌で、弓をひく姿の映画広告を見た記憶がある。今、ネットのあちこちで、「進撃の・・・」と共に、話題を振りまいているようだ。

 この手のものを見ると、「セーラームーン」みたいなお話なのか?と早とちりしがちである。「プリキュア」は、そんなもん(セーラームーン)だ、と彼女が言っていたが。

 そんな時、TOKYO MXで「魔法少女まどか☆マギカ」を放映しているのをたまたま見かけた。興味が沸いたので見てみた。9話、10話を・・・。

 そして、驚いた。

 キャラクターデザインが子供っぽいので、全くストーリーに期待など持っていなかったのであるが、内容に驚いた。

 また、描写が斬新だ。こんな、世界観の描写は見た事が無い。おそらく、登場人物達の精神世界をイメージしているのだと思う。

 この番組は、ターゲットを一体何処に定めているのだろう?

 どうみても、子供向けではない。絵は子供っぽいのに。

 「そりゃ、アニオタ向けでしょ?」と言うかもしれないが、それであれば、もっと色気のあるキャラにしないか?ハルヒみたいな。その方が食いつきが良いし。

 ストーリーは、どうやらオリジナルらしい。

 10話では、「まどか」をいつも守ろうとしている黒い髪の少女(ほむら)が、魔法少女になるまでの経緯、「まどか」を守る理由(これは彼女の生きる、あるいは死ぬ意義、存在証明でもあった)、について描かれていた。

 私は見ていて胸が苦しくなった。

 こんないい年をこいたおっさんが、何で魔法少女を見て悶絶せねばならないのか。

 私は変態ではない。

 皆さんも見れば分かる。

 このような作品を作るスタッフの力量に感服した。全くもって素晴らしい。

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 最近、ヒットドラマが少ないらしい。別にどうでもいいけど。

 「ミタ」「直樹」のヒットは珍しい部類らしい。

 「安堂」もキムタクが主演している割には、今ひとつの評判とのこと。

 業界では、キムタクでダメなら「次の一手」がないとも言われるらしい。随分と底の浅い業界だ。

 「ミタ」「安堂」は、オリジナルドラマであるが、「直樹」にはご存知のとおり原作が存在する。漫画が原作でない事がかえって珍しい。

 今、TVドラマでヒット作を書ける脚本家がいなくなっている、と指摘する評論家もいる(以前はいたらしい)。ドラマ低迷の原因は、良い原作(脚本)が存在しないからか?

 違うな。

 「まどか」を見て思った。

 制作サイドの企画力、発想力、表現力の全てで、TVドラマはアニメに負けているのだ。

 「安堂ロイド」と「まどか」を見比べてみると分かる。瞭然だ。

 TV関係者は、まず、負けを素直に認め、自己否定を行い、自らの才能の欠如、不徳、これまでの安易な惰性の連続を強く戒めるべきだ。

 人気俳優を起用したら当たる、というような社会風潮ではなくなったと考えるべきだ。

 今や「俳優」VS「アニメキャラ」は、アニメに軍配が上がる。

 人気俳優の芸風やポジショニングを変えたり、立ち振る舞いを進化させても、新たなキャラクタ(主人公)のアイデンティティには勝てない。キムタクは、やはりキムタクだ。

 「まどか」がどうしてあのような性格付けをされているのかは不明であるが、だからこそ、あの物語は成り立っている。

 彼女はヒーロー(英雄)ではないようだ(世界を救うらしいが)。しかし、あのポジションは精緻に計算しつくされた上のものだ。ストーリーの基軸になっている。

 だから、面白い。強く内容に引きつけられる。

 このままでは、TVドラマサイドは、何度やっても、アニメ並みの作品は作れないと思う。これは、恐らくマーケティングの問題ではない。

 「魔法少女まどか☆マギカ」に、どのような方々が制作に携わっているのかは知らないが、「良い仕事」をやっていらっしゃると思う。

 アニメは奥が深い。

 

 久しぶりに「クールジャパン」を見た。

 

 

(追記)

 12/21(土)、最終回が放映された。

 私は、「ほむら」のファンになりました・・・