オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

スカイラインであること

 先日のブログで「今のスカイラインスカイラインではない」と書いた。

 では、そもそもスカイラインとは何なのだろうか。

 私達一般消費者が考える日産スカイラインとは、一体、どのように定義出来るのだろうか。

 もちろん、販売する側の論理が第一義であり、例え三輪トラックであっても、例え軽自動車であっても、カルロス・ゴーンスカイラインだ、と言えばそれはその通りになる。

 現に、今のスカイラインがそうであるからだ。

 では、軽自動車にフェアレディZ、1.5ℓの4ドアセダン(サニーみたいな車)にセドリックと命名しても、ファンは、市場は、それを素直に受け入れるのであろうか?

 実は以前にトヨタが驚くべきミスリードを素人相手(車マニアではないということ)にかました事がある。

 「マークⅡクオリス」というステーションワゴンを販売したのだ。

 この車、2ℓ4気筒のエンジンを搭載する前輪駆動車だ。スタイルはなかなかよろしかった。「マークⅡ」をストレッチしたステーションワゴンに見えなくもない。内装も、マークⅡのそれと遜色ない、おなじみスナックのボックスシート仕様だ。

 しかし、決定的なマークⅡとの違いがある。

・マークⅡのシャーシを使っていない。エンジン、ステアリング、ブレーキと言った駆動システム、前後の重量バランスがマークⅡと全く異なる

・さらに決定的に違うのは、前輪駆動車である事。つまり、FFだ

・もっとも許せない事は、エンジンが同じ2ℓであるが、TwinCam24ではない。1G-GEUではなく4気筒の、おそらくカムリ/ビスタと同じエンジンを積んでいる

 つまり、「マークⅡクオリス」は、その生まれ、育ちから命名するのであれば、誰が何と言おうとも「カムリワゴン」なのだ。マークⅡと言ってしまっては、お父さん/お母さんが違う事になる。

 こんなことが許されていいのだろうか?

 というか、この車を「マークⅡ」の親戚だと思って購入した人は、一体どのくらい存在したのであろうか。

 トヨタは、間違えて「マークⅡ」を冠したのではない。当たり前だ。「マークⅡ」と付けた方が ”売れる” からそうしたのだ。

 しかし、もし「マークⅡワゴン」と思って、FF4気筒エンジンのステーションワゴンを買う人がいるのなら、これは驚くべき事だ。

 名前に釣られたとしても痛過ぎる・・・

 この車は、ハンドルを握るまでもなく、「マークⅡ」の持っている「重いがグンッと加速する」「ほどほどアクセルを踏んでも意外な程スムーズ、しなやかに走る」という美点は持ち合わせてはいない。これには、2ℓ6気筒FRという大前提がある。

 一方で、クオリスには「マークⅡ」には絶対に望めない広大な室内空間がある。「マークⅡ」と比較して、恐らく4畳半と6畳間くらいの違いがある筈だ。これは、主にFFとFRの違いから派生するものであり、当たり前と言えば当たり前の話だ。

 トヨタは、経済性に優れた中型ステーションワゴン(素材は極めて良い)を、燃費の悪い、重いスポーティーカーのイメージで売ったのだ。これはエンジニアリング的には「おかしい」。矛盾している。

 私には、「マークⅡクオリス」を購入した人の ”動機” が理解出来ない・・・

 因に車がBoo〜だ、と言っているのではない。当時で見ればレガシィとは反対側のマーケットを狙っていたのだと理解出来るし、2ℓのステーションワゴンとしては十分にリーズナブルだ。

 ただ、何で関係もない「マークⅡ」という名前が入っているのかが理解できない。北海道にテーマパークを作っておいて、「東京XXランド」と言っているようなものだ。

 要は「嘘をついてまで・・・」と批判しているだけ。

 どうやら、車の名前=ブランド、であることは間違いないが、そこに技術的な経緯やこだわり、技術屋としての真摯さ、などというものはあまり関係がないようだ。

 「Apple Ⅰ」を「Macの原型」と言ってしまうお国柄なのでやむを得ない、と言うことか。

 彼女にもよく言われるが、私がこだわり過ぎるのかも知れない。ほとんどの一般ピープルは、技術的なことには大してこだわらない、のかも知れない。

 

・・・・

 

 ではスカイラインスカイラインであることの条件(独断)。

 

①4ドアセダンと2ドアクーペがあること。若い人は2ドアを選び、おっさんは4ドアを選べるというのはとても大切なコンセプトだ。当然、性能は2ドアの方が上。そのため、クーペはホイールベースを短めに設計すること

②内装がチープでプアなこと(高級車みたいではないということ)。ウッドパネルはNG。そもそも、ベンツ、BMW以外は許されないことだ

③2ℓ6気筒であること。因に4気筒を載せる場合は、FJ20のようなレース以外では使えない非実用的エンジンであること。DOHCであるかはどうでも良いが、そうでなければ私は怒る

④そこそこ速く走れること。そこそこで良い。あまり速いとフェアレディZの立場が無くなる

⑤レースに出る気満々に見えること。これはスカイラインが日本GPでブレイクした歴史を鑑みると「必須」の条件だ

⑥サイドにサーフライン、テールランプは丸形、というくだらないデザインコンセプトを必ず守ること

⑦燃費が悪いこと。出来れば6Km/ℓくらい。友人に「何でこんな燃費の悪い車に乗ってるの?スカイラインって、そんなに良いか?」と聞かれなくてはスカイラインに乗る意義はない。ハイブリッド搭載は、ブランドを自ら否定・毀損する自殺行為だ

⑧これに乗っていると「女にモテる」という幻想を男に抱かせること

⑨女性から見たら、おっさん臭くてダサいデザインであること

⑩あまり高価でないこと。一方、高価そうに見えること

 

 以上だ。

 俺たち男はアホだ・・・