オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

機会喪失に注意

 「機会喪失」

 本来であれば、何らかの事象に遭遇する機会があったにもかかわらず、それを逃してしまうこと・・・

 この言葉はビジネスの世界ではよく使われる。モノを販売する者、サービスを提供する側から言えば重視しなくてはならない概念の一つだ。

 何らかの不備のため、本来であったら売れていた筈のモノが、実際は売ることができなかった。これは、分かり易い例で言うと「在庫切れ」がある。

 プリンタのインクが切れたので、家電量販店あるいはPCショップに買いにいったら肝心要の「モノ」が無かった、と言うようなことはないだろうか。

 この場合、仕方が無いので時間と暇があれば別のお店を探して、そこで購入することになる。

 プリンタのインクは、どこのお店で購入しても中身は同じだ。値段もそれほどバラツキがある訳でもない。つまりどこで買っても私達にとってはどうでも良いこと。

 しかしながら、売る側にとっては「違う」。

 プリンタのインクは高価だ。利益率も高い。買う側から見ればボッタクリ。

 お店の方は、ただ商品を棚に並べておくだけで良い。商品の説明もほとんど不要だろう。

 このように楽に売れる利益率の高い「美味しい製品」を、もっとも多く売れるであろう年末に在庫を切らせるお店があったとすればどうだろうか。

 相当にマヌケな話である。

 インクに賞味期限があるわけではない。店晒しOKで冷蔵庫に保存することも不要。

 この手の商品の在庫切れを起こすお店は、普段から在庫管理が出来ていない、その仕掛けが存在しない。 

 そんなお店は「やっていけない」。

 営業を不要とする商品を売らず、販売チャンスをみすみすと逃すような「ボンクラ」は、商売には適していないし、そのセンスがない。競合他社が、何をどう売るかに腐心している激烈な市場競争の中で、「ボ〜ッ」と突っ立っているに等しい。

 しかし、このようなことには時々出くわすものだ。家電品にかかわらず、食品でも同様。コンビニにちょっとしたものを買いにいった際、このような経験をすることはしばしばある。

 不良在庫と在庫切れの悩ましい関係。この2つは、トレードオフなのだ・・・

 

 ・・・・

 

 マイクロソフトが、新製品Surface Pro3を販売するようだ。

 ボディはより一層小型軽量になり、性能もUPしている。

 ハイスペックのタブレットを待っている人達にはジャストフィット、ど真ん中のストライクであろう。ヒットすると予想する。

 「在庫切れ」がなければ・・・。

 ご存知の通り、日本では年末からSurface Pro2を見かけることはほとんど無くなった。一部流通してはいるようであるが、Amazonでもヨドバシでもほぼ在庫ゼロの状態。

 入庫しても即売り切れ、が続いている。

 日本では4月から消費税の引き上げが行われた。

 本来であれば、3月末までの間に凄まじい勢いでの「駆け込み受注」があった筈だ。

 Surface Pro2の主力機種は、10万円をほんの僅か下回る値付けが行われている。マイクロソフトも「値付け」が販売の大きなファクターになることは知っているのだ。

 マイクロソフトが被った「機会喪失」は相当なものだと思う。

 そして、それは一時的なものとは限らない。「熱」が覚めてしまう場合もある。「衝動買い」の本能は、そう永く継続しない。

 旬の時期に思い切り売っておけ、ということ。

 マイクロソフトにとって、Surfaceシリーズの販売については歪んだことが起きている。

 Surface Pro2は世界中で爆発的に売れているのに、その需要に応え得る数量を市場に提供出来ていない。一方、Surface(WindowsRT版)は鳴かず飛ばずだ。こちらは恐らく不良在庫を抱えていると思われる。

 つくづく市場予測は難しいと認識させられる。

 

 今後も、SurfaceSurface Pro2は継続販売されるらしい。

 在庫管理が出来ていないマイクロソフトがとる戦略としては「?」だ。

 前々から言われていたことであるが、彼らにこういう製品のオペレーションが的確に出来るのであろうか。

 Surface Pro3に専念した方が良いと思うのだが。どうでも良いけど・・・

 

 因に本当に恐ろしいのは「在庫切れ」ではなく、人生にとっての「機会喪失」だ。

 肝に銘じたい。