せめて、子供料金を設定すれば?
内神田の「菊川」に連れて行ってもらったのは、もう15年と少し前の事。
とある夏の土曜日の昼間、お店の2階席に案内されて、ビール、お酒、肴を嗜みながら鰻重をごちそうになった。
その時は「なるほど・・・、これは美味しい」と思った。
「菊川」が有名なお店である事を知ったのは、もっと後の事。
気遣いとおもてなしをしてくれた友人に甚く感謝した。
一方、当時は三田で仕事をすることも多く、年配の先輩の送別の席を「野田岩」に設けた事がある。ここも素晴らしい味であった。
因に「野田岩」は、横浜西口の少し離れた所にもある事を今は知っている。
私は「鰻」の有名店はこの2つ位しか知らないが、東京には他にも数多くの老舗があるのだと推測する。
私は鰻は好きだが、ネットで有名店を調べてまで「土用」に駆け込むタイプではない。
別に、イトーヨーカドーの鰻でも大いに結構だ。
今日は土用の丑の日。
それでなくとも高価な鰻は、今日はさらに高嶺の花となっているのだろう。
日経新聞によると、東京のとある老舗鰻屋の蒲焼きは、2200円とのこと。
「・・・」
いくら何でも高すぎないか?
店主は「日本の伝統文化維持のためにも提供を続けたい」と言っている。
本気なのであろうか・・
今でも十分高価であり、今後の供給予測を踏まえれば、さらなる値上げは必至だろう。
では、一体彼らは、幾らになるまで鰻の値上げを続けるつもりなのであろうか。「伝統文化」の名の下で。
値上げをしても経営は苦しいとの事であるが、例えば鰻重が1万円にまでなったら、そうまでして鰻重を食べる酔狂な江戸っ子は、今の日本にいるのだろうか・・・?
この店主、将来にわたって、一体誰を相手に商売を継続するつもりなのか。
謎だ・・・
鰻は、今や、クジラ、マグロに次ぐ絶滅危惧種。
クジラ論争とは異なり、「鰻の絶滅危惧」については明らかに私達日本人に多くの責任があると思う。自業自得だ。
よって、この状況は甘んじて受け入れるしかないと思う。
爺・婆たちが「鰻を食べられなくなるのは寂しい」と言ってる姿がしきりにニュースでは流れているが、先の短い人たちが若い者を差し置いてわがままを言うものではない。
あなた達がこれまで食い過ぎたから、このような事態に陥ったのだ。一体誰が鰻を絶滅に追いやろうとしたのか、自分の胸に手を当てて考えてみるべきだ。
二言めには、お年寄りを引き合いに出すのはナンセンス。
・・・・
今の小学生、中学生は、鰻の本当の美味しさを知っているだろうか?
2000円もするような鰻重を彼らは食べた事があるだろうか。
老舗鰻屋の店主は「日本の伝統文化維持」という高邁なビジョンを提示しているようであるが、それが本気なのであれば、次世代に「鰻」を引き継いでもらうために、敢えて子供達に対してはもっと安価で提供しては如何か。
子供達に安く提供する分、これまで、たらふく食ってきた年寄り、大人に対しては値上げがあっても止む無しだ。
関係者が、本当に鰻料理を日本文化であると考えているのであれば、それくらいの工夫はあって然るべきではないのか。
私には彼らの言い分は「これでは商売になりまへん」と言っているようにしか聞こえない。