オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

ペルセウスの誘惑

 昨日の夜は、スーパームーンが観望出来たらしい。

 私の住んでいる場所は、折からの台風通過の影響で朝から空模様が悪く、夜になってもお月様が見えなかった。

 私は、特段、スーパームーンに興味が深い訳では無いので気にしていなかったが、夜を通して観望を粘った方もいたかも知れない。

 雲の切れ間を狙って、デカいお月様をひたすら追う。それはそれで面白いと思う。

 最近、色々な天文現象がTVや雑誌、ネットで紹介されるようになった。

 それまで天空に関心の向かなかった方々が興味を持ってもらえるのであれば、それは嬉しいことだ。共通の話題が増える。

 望遠鏡で月を覗く場合は、満月は避けるのが一般的だ。

 まぶしくて、とても見ていられないし、月面の様子も明るすぎて分かり辛いからだ。8cmの双眼鏡で覗くのが丁度良い。

 8月12日あたりからは、ペルセウス座流星群のピークを迎える。

 流星群を狙って星空を見ようとしているのであれば、これを機会に8cm双眼鏡を手に入れては如何だろうか。

 このサイズは、星空観望はもちろんであるが、他にも使い道が広い。色々なシーンで活用可だ。買っておいて損はない。

 

 ペルセウス座は、カシオペア座の隣にある。

 天空での場所を表現するのは難しい。アンドロメダ座の左隣、カシオペア座の左斜め下、と言っても、北極星を中心に空が回転しているので「?」となってしまう。北極星カシオペア座アンドロメダ座を線で結んだ時に、その左隣という位置関係だ。

 ペルセウス座のα星(一番明るい星)の座標は、おおよそ、3h20m、+49°、1.8等級。この辺りに1等星はない。

 この星座自身も少し複雑な形をしているため、探しやすいとは言えない。

 +49°と緯度が高いため、空の相当高い所まで上って行く。まさに、見上げる感じ・・・。

 

 ペルセウスさんは、勇者だ。

 腰辺りに位置する左手に握られているのは、メドゥサ(頭が蛇でできている怖い女)の首。

 この人、高ピーでウザいカシオペア姫の娘をお化けクジラから救出した功績でこの場所に鎮座している。

 娘とは、アンドロメダ姫。

 お化けクジラは、先ほど触れた北極星カシオペア座アンドロメダ座の線の延長した先にいる(しっぽ辺りに当たる)。

 アンドロメダ姫を星座絵で見ると左手を上げているが、その手首には鎖が巻かれている。これ、母親の娘自慢にムカついた神様が、その罰として娘をお化けクジラに食べさせようとして鎖でつないだらしい。

 このまま放っておくと猟奇殺人になってしまうが、これを防いだのがペルセウス王子と言うことらしい。

 今考えると偏狭な話であるが、星座にまつわる神話にはセコいものが結構ある。女神をナンパするために牛に変身した、とか。

 

 ペルセウス座は探し辛いが、カシオペア座であれば見つけられると思う。

 カシオペアは、”W”の形をしているが、これを90°左に倒してみる。頂点から下方に向けてジグザグに、右→左→右→左と合計5つの星が並ぶ。

 これの上から3番目、Wの真ん中の星からその下の4番目の星に向けて線を引き、それをず〜っと延ばしてみる。その先にあるやや明るい星がペルセウス座αだ。

 距離は、手を伸ばして見た時の、おおよそ手のひらの端から端までより少し大きいくらい。

 このα星の少しカシオペア寄りにγ(ガンマ)星があり、ここが流星群の放射点になる。

 ここから、うじゃうじゃと流星が飛び出して見える訳ではないが、観望の目安にはなる。多い時には1分間に1個くらいが見られるらしい。

 2〜3時間、空を眺めていると流れ星は普段でも見ることができる。必ず。人工衛星も見られる。運が良ければ、未確認飛行物体もだ。

 今夜を逃しても、チャンスは無限にある。心配無用だ。

 

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 ペルセウス座にはもう2つ話題、見所がある。

 β星には、アルゴルという名前が付いているが、これは変光星だ。2日と21時間の周期で2.1〜3.4等まで明るさを変える。毎日、観測すればその変化が分かるらしい。メドゥサの頭あたりに光っている。

 もう一つは、傍に双子の散開星団があること。

 これは、先ほど触れたカシオペア座からペルセウス座を探す線上の中間あたりにある。

 一般には肉眼でも見えるらしいが、私には見えない。

 私はいつも双眼鏡で見ている。

 流星群を観望するのであれば、ついでに見ておくことをお勧めする。

 この散開星団、肉眼で見えるだけに古くから知られていたようだ。

 ギリシアの天文学者ヒッパルコスは、この星団を記録しているらしいが、メシエは何故か触れていない。なので、こんなに目立つ存在なのに”M”番号が付いていない。

 「ペルセウス座二重星団」というごく当たり前の名で呼ばれている。

 

 目立たない星座「ペルセウス」であるが、変光星あり、散開星団あり、流星群ありと話題は多い。

 また、カシオペアから辿っていくと、M103、M76、M34、カリフォルニア星雲、プレアデス星団(すばる)と有名どころも多い。

 

 まるで絶世の美女アンドロメダ姫と一緒に、私達を誘惑しているようだ。