その制度は既に死んでいる・・・
とある病院でのお年寄りの会話。
とめ「今日は源さんを見ないね。どうしたのかしら。ここに来るといつもいるのに・・・」
まめ「源さん、どこが病気なのかなぁ・・」
これは、一時流行ったブラックジョークだ。
病院が、診療の必要のないお年寄りで一杯になっている、との揶揄である。
今では信じ難いが、この国では一時期、一定年齢以上のお年寄りの医療費が「無料」の時代があった。誠に信じ難いことであるが・・・
今朝の朝刊(日経)に、またしても健康保険組合の保険料に「”〜”という新たな制度を導入する」との無駄な記事が出ていた。
”〜”については、アホらしくて名前も覚えていない。覚える必要もない。
あと、数年したら、また新たな概念の保険料システム(と言うほど体系化されてはいない)が組み入れられることは自明であるからだ。
この国の「健康保険制度」は既に死んでいる。
完全に ”破綻” している。
今、繰り返しの保険料引き上げにより、制度が存在するかのように見せかけているだけだ。
「もうだめです!」と厚生労働省がどこかで玉砕宣言するまで、最期の1つの健保組合が破綻するまで、ただ、ひたすら保険料を引き上げ続けるしか、国のやるべきこと、出来ることは存在しない。
救済・存続の道はこのままでは「ない」
誰がどう見ても ”破綻”、”倒産” しているのに、制度を毎年のようにいじくり回し、存在しているかのように見せかけているだけだ。
どこでもよい。健保のバランスシートを見てみると分かる。
どこも、かしこも大赤字だ。
それも、その負債はどんどん増え続ける。間違いなく。
だから、どこの健保もいずれ資金が枯渇し、解散を余儀なくされる。
自明だ。
「健康保険組合」なる組織は、間もなく、この国から消えて無くなる。「厚生年金基金」がそうであるように。賦課方式をとっているだけ、年金基金の方が少し寿命が永く見えるだけだ。
何故だろうか?
何故、健保は赤字なのか?
これだけ繰り返し、繰り返し、常識外れな保険料引き上げを連発しているのに。
私達は、そんなに多く病院に行ってはいない!? はずだ・・・
そう・・、健保の赤字の要因は、保険者の減少を除けば、収入規模を大きく超えた高齢者医療費拠出によるものだ。
今後も高齢者は増え続ける。
その人達の医療費を現役世代が肩代わりする。
いずれ、現役世代とジジ・ババの数は同じになる・・・
そして、システム(というか、仕掛け)は破綻する。
資金は既に枯渇している。
「年金」以前に、この国の社会保障制度が終わっている事は、この健康保険制度を見れば一目瞭然だ。
誰が見ても、このようなムシの良い制度が維持出来る訳がない。
「後期高齢者」という表現が悪い、と当時の野党は言っていたが、名前の問題ではない。財政システムの仕組みが問題なのだ。
このプアな、しかし、全世界で最も年寄りに優しい、不公正・理不尽なシステムの存続のための唯一の手段は、高齢者の医療費負担を増やす事だ。
それしかない。
受益者負担による制度存続か、制度破綻による高齢者切り捨てか、はたまた、完全な国費・国民負担による制度維持か、選択肢は多くない。
厚生労働省は、いつまでも問題先送りをするのではなく、結論を示すしかないだろう。
このようなやり方がいつまでも維持出来る訳がない。
最後にDATAを示しておく。
・経常支出に占める納付金等の比率:42%
・医療給付費に占める高齢者医療費比率:2010年度58% → 2016年度試算63.9%
・後期高齢者医療制度における本人の保険料負担:11%
・赤字の組合は全体の8割
引用:健康保険組合連合会「健保組合の財政状況について」2014年5月
このような状況で、制度が維持出来ると考えている方が異常だ。
・・・・
「高齢者だけに一方的に優しい社会保障制度を持つ国」
欧州でも、そんな国があるのであろうか?