オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

今さらジロー

 実は、先週「ラーメン二郎」に行ってきた。

 初めてのことだ…

 熱烈なファンがいることは知っている。何だかとんでもない大盛りのメニューがあるらしいことも聞いていた。

 一度、行ってみたいな、とは思っていた。

 

 先日、彼女の従兄弟が家に遊びに来た。

 その際、たまたまラーメン二郎の話が出た。近所にラーメン二郎があり、時々行くという。何と、彼女の従兄弟はジロリアンであった。

 彼女はラーメン博物館に行っても、入場料の元がとれるフードファイターだ。

 このような話を聞いたら、行かずにはおれない。今度、皆でそこに行こう、という話になった。

 彼女は「大盛りにチャレンジしたい!」と言った。

 従兄弟は、

 「いくら君でも、それは無理だ」

 と言う。

 彼女は、そのことに俄然興味を持ったようだ。

 「私が食べきれないラーメンて、どんなもん?」とでも思ったのであろうか。

 そして、私はただ彼らのやり取りを聞いているしか無かった。

 世間では何でもないことだろうが、我が家では「ママに食べきれないラーメンがこの世に存在する?」という話題でしばらく持ち切りになった。

 

 ・・・・

 

・予め、食券を買うこと

・噂のトッピングは、ラーメンが出される際に店員さんからオーダーを聞かれるので、その時に好みを伝えること

・「増し」という言葉で追加の分量を伝える。「増し増し」は2倍

・「増し」は、野菜、ニンニク、チャーシュウ、油に有効とのこと。

・「増し」は、そもそも分量が大きいので、「ちょい増し」というハーフを意味する注文法があるとのこと

・麺はデフォルトで多いらしい。メニューは「小ラーメン」というが、全くもって「小」ではないらしい。そこから、さらに増量する場合は「大ラーメン」を食券購入する

・どこの二郎もそうであるが、店内は狭いので客が列を作って並ぶ場合が多い、とのこと

 

 以上が大まかなレギュレーション。

 さて、当日、従兄弟、彼女(妻)、彼女(娘)、私の4人でお約束通り10分ほど並び、カウンター席についた。

 並んでいる間に、先に注文するお客さんの様子を見ていたので、トッピング・オーダーの仕方は何となく分かった。

 しかし、驚いたのは「大ラーメン」だ。

 一人だけ、「大ラーメン」を注文された方がいたのだ。他の人は、皆、小ラーメン。

 「何だ、これは…」

 いや、大げさな表現ではない。

 器も大きいが、中身はもっと凄い。こんなもの、食べきれるのか…?

 これを見たのか、彼女は無難に小ラーメンを注文した。

 私も小ラーメン、ニンニク・野菜「増し」で行った。

 

 ・・・・・

 

 彼女は『「油増し」も良いかもね』『スープ飲むと後が大変らしいから控えた方が良いよ』と話しかけてくるが、私は何も答えず、ひたすら麺を食べていた。

 野菜増しを注文したものの、これは麺から食べないとマズイとすぐ気がついた。

 間違っても、麺を残したりする訳にはいかない。

 麺は太め。

 私の好みであるが、この分量ときたら…

 妻ではなく、娘の方を見たら、彼女も私と同じことを考えていたようだ。黙々と麺を食べている。

 私はなんとか完食した。

 正直言って、味わっている余裕がなかった。

 とにかく、食べきることに必死だった。

 彼女は、満足したようで「やっぱり次は大に挑戦」と決意を新たにしていた。

 私は…、次に行った時には「増し」無しでいこうと思っている。

 

 ラーメン二郎が愛される理由は何なのだろうか。

 超大盛りが食べられるので、コストパフォーマンスが良い。お得。

 確かにそれはある…

 しかし、ジロリアンの本音はそこではあるまい。

 好きなラーメンを、自分の好きな具合に巨大化できる。

 それは、単に二人前を食べることよりも、もっと楽しいやり方。

 「お腹いっぱいの微妙な調整ができる」と言うところなのだろうか。

 私は、そんなに大量のラーメンは食べきれない。

 しかし、ラーメン二郎には、単に「安いが満腹になれる」という表現を超えた魅力・引力が存在することは確かだ。

 「次行った時は、大、油増し、でいくよ!」

 と、彼女は意気軒昂。

 

 今さらながら、ラーメン二郎、恐るべし…である