いざ、モンロー主義へ
先日、USAの共和党大統領候補トランプ氏が指名受諾演説を行った。
7/23日経新聞にはその演説要旨が掲載されている。
内容を思い切り要約すると次のようになる。
・クリントン夫婦とその取り巻きは、自分達に有利な政治・経済システムを作ってきた。彼女はそのスポンサー達の操り人形だ。この腐敗構造を是正するには政権交代するしか無い
・不法移民による犯罪を減らす(撲滅する)。メキシコとの国境沿いに壁を作ってでも(費用はメキシコ持ち)。移民に制約を設けることも止む得ない。USAを愛するもの以外を国内には入れない
・アホみたいな外交はもうしない。イラン合意、リビアへの軍事介入、シリアへの内政干渉は前政権の失態。もう放っておく。私にはUSAが大事
・NATOはいらない。だからもう金は出さない。日米安保も見直す。日本は自分で自分を守ること。そのためには核兵器を保持しても構わない。USA軍に駐留してほしいなら経費を出せ
・TPPは国内の製造業を破壊するので廃止。NAFTAもいらん。中国のダンピングを許さない。自由貿易協定なんていらない。国別に協定する。弱者(国)救済に興味は無い
・国内雇用を取り戻す。製造業の海外進出を名目にした従業員解雇は許さない
・オバマケアは廃止。銃規制に賛成
・私が大統領になった時に進めるのは、グローバリズムではなくアメリカニズムだ
こうして纏めてみると、究極の泡沫候補と見られていたトランプ氏であるが、言っていることは支離滅裂なことばかりではなさそうだ。
彼は「自国第一主義だ」と言ってる。
「世界の警察はやめる」
「パックスアメリカーナのような都合の良い仕掛けは維持出来ない」
「中東のことなんてどうでも良い。勝手に戦争をしていろ。ただし、USAを巻き込んだりしたら十倍返しだ」
「国が集まって自由貿易圏を形成したり、集団安全保障をUSAの資金で実現したりすることに興味は無い。自分の事は自分でやるから、俺のことは構うな」
と、言っている。
これまでUSAがとってきた政治姿勢、外交方針から見ると、とんでもない方針転換であるが、例えば現代史におけるロシアの位置付けを見てみれば、大国としてあり得ない振る舞いとまでは言えない。
ましてや、近年の中国の傍若無人な振る舞いを踏まえれば、十分に理性的な外交姿勢とも捉えられる。
USAは、経済・産業の競争力が極めて高い、自立した国だ。他国の世話になることはない。だから、これまでは他国の面倒を見てきた。まるで、世界家族の長兄のように。
その役割を終え、自らの道を進むと言っているように聞こえる。
で、あれば私達にとやかく言う権利はないだろう。
自力自決が世の中の基本姿勢だ。
過去のサルコジ氏やプーチン氏、あるいは、お隣の国家主席の言動と人となりを思い浮かべてみる…
意外と次期大統領候補は、"まとも" かも知れない。
単に、70年前の国家観を復古しただけ。
モンロー主義への回帰。
USAのロシア化、中国化が進んだだけ、かもしれない。