金さんか銀さんか…
先日電車の中で、隣のリーマンがしている腕時計が目に止まった。
トラディショナルなシルバーのステンレスの腕時計。
うん?…これって、ひょっとして…
失礼ながら、文字盤のエンブレムを確認する。
”GS” と刻んである。
おお、GRAND SEIKOだ。若いのに渋い趣味だなぁ。
今の若い方々は、スマホで正確無比な時間が把握できるため腕時計をしない人も多いと聞く。
お隣にいた若いお兄さんが、ロレックスではなく、SEIKOの高級時計をされているのをみて意外であったのと、やはり時代は変わっても海外有名ブランドではなく、この手の国産モノを支持する男たちが存在することを改めて認識し、なんだか少し嬉しくなった。
私は腕時計が好きだ。
別の日に、今度はCASIOの腕時計をしているお兄さん(恐らく学生さん)を見た。
何故、いきなりCASIOと限定できるのかと言うと、見てすぐブランドが判別できるから。それは、製品の存在感としてすごいことでもあるのだが。
G-SHOCKだ。確かに誰にでも分かる。
色は黒。ベルトを含めて全部黒。初代型のデザインだった。
初代型には、なんとも言えないクラシックな良さがある。デジタル式なのでデザイン的には新しいはずなのに、何故かこの腕時計はデジタル式の系譜からするとクラシックだ。
機械的デザインを感じさせるのに嫌味がない。
子供っぽい、オモチャっぽいが、親しみが湧く。
小さい頃遊んでいた玩具の延長線上にあるように感じる。
いかにもメカニカルでありエレガントではない。でもそこが良い。
GRAND SEIKOの反対側に位置するデザインだ。私はどちらも好きだ。
先日、久しぶりに腕時計を買った。
ヨドバシからDMが送られてきた際、一目見て購入を決めた。
G-SHOCKの35周年記念モデルとのこと。デザインは初代を踏襲している。
素材は全身ステンレス。
ラインナップは2種類。ステンレスではあるが、メッキを施してあるモデルがある。
ユーザーはこの2種を金さん、銀さんと呼ぶらしい。
この金さんの方、とても目立つ。全身金メッキだからだ。
稀少性もあり存在感からも、悪くはない。
しかし、写真で見ただけで「ケバイ」。
この金メッキ、特殊な製法で吹き付けているらしく簡単には禿げないらしい。実物はもっと鮮やかなのか?
欲しいとは思ったが、正直身につけるのが恥ずかしい。これ、G-SHOCKを知らない人が見たら(そんな人がいるのか分からないが)、「ハデ〜、成金趣味〜」とならないだろうか。
ロレックスやカルティエ以外に、果たして金色の腕時計は許されるのだろうか…
私は銀さんを購入した。
後日、横浜のヨドバシに行き、ベルトを調整していただいた。調整は女性の店員さんがやってくれたのだが、その方に金さんについて聞いて見た。
「GMW−B5000TFGってどうですか?」
「日常で使うのなら、お客様のシルバーの方が圧倒的にいいですよ」
「そう思ったんですが金も気になって」
「あれは展示用、観賞用に買われるのではないですか。使うには少し…ね」
店員のお姉さんも私と同じ感想であった。いや、卑下しているわけではない。
使うステージを選びすぎるデザインではないか、と感じているだけだ。
正直言って、今でも購入できるのであれば欲しい。
しかし、金は限定モデルのようだ。金さんは裏版に「35th」も文字が刻まれているらしい。
これは銀さんにはない。
いずれ、銀さんは継続生産されるとユーザーたちは見ている。
私は、金さんの実物を見て見たい。