秋田って
妻と知り合ったのは会社に入って2年目だったから、付き合いは会社人生とほぼ同じ期間だ。
彼女は小柄で綺麗な長い黒髪の女性だった。
私はロン毛が好きだ。
ショートには興味がないのかと言われれば困るが、以前から髪の長い女性が好きだった。
妻の前に付き合っていた彼女も素敵な長い髪をしていた。私の好みに合わせていてくれたかもしれない。
妻は一時期、ショートにしていた時期もある。ポリシーが無いがあれはあれで良かった。
本人は当時「いい加減、長い髪の毛はうっとおしい!」と言っていた。
何故女性が髪の毛を伸ばすのかは謎であるが、切ってしまう動機が「洗うのがめんどくさい!」との理由であればそれは理解できる。失礼。
その彼女が秋田出身であると聞いた最初の印象は「随分と遠くから出てきたんだなぁ」だ。
間抜けで大きなお世話な発想だ。
遠いと言っても飛行機なら東京〜秋田は1時間だ。
大阪までは当時新幹線で3時間。浪速の方がよっぽど遠い。
秋田か…
私の当時の印象である。
秋田美人という言葉は聞いたことはあった。
しかし、彼女を見てそれは連想できなかった(これは内緒)。
秋田に初めて行ったのは86年2月。結納を持っていくためだった。
大雪の降る中、秋田空港に着地した。
事前に彼女の親戚から「こっちが初めての人は大概、空港の玄関口を出た瞬間、雪に滑って転ぶ。気をつけて!」と言われていたがその理由は実感できた。これは危ない。
空港には彼女の従姉妹がわざわざ車で迎えにきてくれていた。
彼女との付き合いは今も続いている。すごく世話になっている。恐らく今後もそうだと思う。
実家では叔父さん・叔母さん達が私を迎えて下さった。
その日の宴席は真夜中まで続いた。こんなことやってるから秋田の男は早死にするんだと今は思ってる…というかこれはほぼ事実だ。
彼女の母(今では義母にあたる)は、この日の宴席のために山菜を用意してくれていた。今考えるとこれは最高のご馳走だった。究極のおもてなし。忘れない。
あの時、夜中まで私を追い回して「まだ飲める!」と言っていた叔父たちはもう今はいない。皆さん鬼籍に入った。楽しい思い出だ。感謝してます。
彼女と結婚できて良かった。
秋田はいわゆる田舎だと思う。良し悪しの問題ではなく。
私は好きです。
妻は「閉鎖的でXXXっていうところなんか最悪!」とか言っている。
多分、彼女のいう通りなんだろう。
でもあの大自然で人生を終えることは楽しみでもある。