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オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

名護市は決められない

 19,839 対 15,684。その差は、4,155。

 これが昨日行われた名護市長選挙の結果だ。投票率は76.7%。

 普天間基地の移設に関する地元の是非を問う実質的な住民の直接投票だ。

 4年前に行われた選挙では、やはり稲嶺氏が勝った訳であるが、その時の得票差は何と1,588票だった。

 当選した候補の獲得票の差は前回よりも大きくなっており、単純に言ってしまえば「基地移設反対派」は前回よりも増加している。「地元の民意は決した」と言っても間違いではないだろう。

 昨年末に、沖縄県知事が基地移転に関し、半ば強引に政府との合意形成を図った流れがあったことから、今回の選挙では「仕方ない」「もう決まったことだから」との諦めが名護市の人達に出て来ても不思議ではないと私は思っていた。

 しかし、・・・だ。

 地元の意志は、政府と現知事の思惑とは全く反対の結論を示した。地元の人達は、知事の談合/猿芝居に「ふざけんな!」と明確な反対表明を行ったことになる。

 これは、深刻な事態だと思う。

 名護市長に、基地移転拒否の権限がある/ない、の問題ではない。本事案に対する法律の適用/解釈のことを言っているのでもない。

 これは、地元住民の意思が完全に真っ二つに割れてしまっている、と言う事なのだ。

 こんなに、見事に2等分されることは極めて珍しい。

 基地移転に関し「賛成」と「反対」がほぼ同じ数で存在するという事だ。

 民主主義のルールに則り、「多数意思に従えば良い」などと楽観してはいけない。4000票の差があるが、たったその程度の差しかないのだ。両派に、メジャーもマイナーもない。

 この程度の差は、人の意思が持つエネルギー量を考慮すれば「誤差」と同じだ。どっちが多い、少ないなどと安易に言えるものではない。

 この問題は、恐らく長期化すると思う。

 政府は、強権を奮ってでも基地移転をやりたがるだろうが、沖縄の世論はそれを許さないだろう。

 強引な決め方、進め方は、「賛成派」「反対派」の双方を巻き込んで大混乱をもたらすこと間違いない。

 それでなくとも、「成田空港闘争」の歴史を振り返れば、この手のコトを進めるのに強引な手法が最適解をもたらす事など全く期待出来ないことは自明だ。

 万一、政府がそのような愚行に及べば沖縄だけでなく、全国の良識ある人達から総攻撃を喰らう事だろう。

 

 考えてみて欲しい。

 名護市で例えば住民同士の衝突があったりすれば、それは約2万人対2万人のガチンコ勝負になるのだ。このような巨大な集団の意思を一体どうやって纏めるというのか。

 どのような理論、理屈をもってしても、この巨大な集団を納得などさせられるものではない。どのような結論に至ったとしても、もう半分の集団は絶対に納得しない。

 これが、4万人対5000人だったら、大喧嘩にはならない。

 少数派は、最初から結論が分かっている・・・

 5000人は唇を噛み締めながらも、多数の意見に従うと思う。

 しかし、先も言ったが、名護市は今、真っ二つに割れているのだ。

 勢力が均衡しているからこそ、どちらも、もう退くに退けない。先に退いた方が「負け」、「損をする」のだ。そんな、単純なことではないが・・・

 

 もはや10年や20年では決着出来ないかもしれない。

 どちらに決めても将来にわたり禍根を残す事になる。そして、名護市の人達の気持ちの中には「しこり」が残る。誰も間違った事は言っていないのに・・・

 世代の交代に運命を委ねるしかないのかもしれない。

 このような状況を作り出した政府、沖縄県の政治家(当然知事も含む)達は、沖縄県の将来に対し、極めて深い傷を付け、重い負の遺産を残したと自覚すべきだろう。

 普天間に住む人達も、名護市に住む人達もそれぞれに事情があり意見、意思がある。どれが正解とは簡単に決められるものでも、ましてや納得出来るものではない。

 

・・・・・

 私たちは、部外者だ。

 「我々が沖縄に代わって基地を受け入れます」とでも意思表明しない限り、本件については、このまま傍観するしか無い。

 間違っても「民主主義のルールに従え」などと、口出しするものではない。

 

 私たちには、沖縄の人達の気持ちは理解出来ない。

 理屈を述べて、したり顔で、分かったような事を言うものではない。

 私は、すっこんでることにする・・・