(続)秋田リポート
1.気候と天気予報
秋田で過ごす初めての冬もあと1ヶ月あまり。
地元の方は今年は雪が少ないと言っている。
しかし、天気自体は決してよろしくはない。
今年に入ってから星空が見えたのは私自身の行動の中では1日だけ。
1日を通じての晴天はなかなかない。
また、天気の移り変わりが激しい。
雪が降っているかと思えば雨に変わったり、いきなり雲の切れ間からお日様が出たりする。
ワンコの散歩、たった30分間で晴れから雪に変わる事もそう珍しくはない。妻も私も天気の急変で散歩途中で急いで帰宅した事は何度もある。
やはり厳しい気候だ。
ただ、秋田市は海のそばに位置するので山間部に比べれば雪も少なく、これでも比較的温暖な地域だろう。
県境に巨大な山脈もある。
よって、天気予報もそれぞれの地域と気候に応じたものが細かく出されているようだ。
大まかに見ても、東西南北の秋田、由利本荘、能代、大館、仙北、横手、湯沢といった主要地域別に3時間ごとの予報が丁寧になされている。
例え秋田市内は晴れていても湯沢では家が埋まるほどの大雪が降っている事もあるので、地域ごとに細かく情報を出していないと、生活に密着する天気予報を出したことにならないとの事情は理解できる。
極端な例は、秋田駅周辺(秋田中央)と雄物川を挟んだ南側の地域で天気が異なることは既に体験している(車で10分走ると天気が異なる!)。
改めて秋田のスケールを実感している。
2.雪道での運転
今冬は雪が少ないとは言っても、関東圏に比べればやはりべらぼうな量の雪が当たり前のように降る。
夜、降雪がなくても朝起きて外を見れば数十センチの積雪になっていることは日常的だ。
そんな時は朝一で雪掻きに追われる。
この作業は覚悟はしていたがやはり大変だ。
力仕事で体力も相当消費する。
寒空の下でも30分もやればインナーにびっしりと汗をかく。まあ、それでも今年の降雪は少ないので体力的にはマシらしいが。
雪掻きを怠ると車が動けなくなる。
日常的に車を利用するので、常に動けるように周りの雪を退ける作業は必須のものだ。
ただ、我が家の前の道は主要路ではないためか除雪車はあまり走らない。
なので車周りの雪をどけても庭から道まで出るのに一苦労ということもある。
除雪車(ブルドーザー)に一度でも前の道を走ってもらえば、先頭についたあの大きなショベルで除雪していないくても豪快な轍ができるので非常に助かる。
主要路は朝の8:00頃には一度は除雪車が通ってくれているようだ。
こちらでは市内のどこを除雪車が走っているかを自治体がサイトで発信している。
身の危険を感じるほど雪に埋まってる時や、あまりに除雪車が恋しいときには電話をすればきてくれるそうだ。
「呼べば来る」
そんなもんなのかね…
雪国では交通の安全のため、皆4WD車に乗っているのかと思っていたがそうでもない。
2WDの軽自動車が一番多く見かける気がする。
2WDで大丈夫かい?と当初思っていたが、車の性能よりも運転の経験値が重要なようだ。
地元の方々は老若男女、雪道の運転が上手い。慣れている。
ただし、スタッドレスタイヤは必須。100%全車が装着している。
また、こちらの人々はそもそも豪雪やシバれる日には無理して車を使わないようだ。
確かに命の危険を感じてまで外出する必要はない。家にいれば良いのだ。
無理してまで4WDを買う必要はない、との割り切りを最近感じている。
3.朝は早い
首都圏では飲食業を含めた多くの店舗は10:00あるいは11:00開店だった。
意外な事であるが、こちらでは9:00〜9:30あたりで開くお店がある。
地元のワークマンやドラッグストア、ラーメン屋でも朝早くから営業しているところがある。
飲食店、特に食堂と名乗っているお店の中には、7:00ぐらいから空いているところもある。
一方、夜は大概のお店が21:00あたりで閉店する。
ラーメンの「山岡家」は24Hr営業しているが、これはやや例外に入ると思う。
最近、妻とは休日朝っぱらから外食することがある。
これが結構楽しい。
4.SDGs
秋田市は風の街だと先日書いたが、実は秋田県では地熱発電が盛んなのだそうだ。
日本の地熱発電の導入量の1位は「大分県」、17.3万kWだそうだ。
秋田県は第2位で13.5万kW。
この2県については、意外であったがどちらも温泉の有名どころという共通点はある。
用途は発電以外に乳製品加工、木材の乾燥、食品加工、農作物の栽培、陸上養殖、施設の冷暖房、道路の融雪、温泉施設等に活用されているとの事。
地熱発電は10年後、18万MWを目指しているそうだ。
果たして大分県に追いつけるだろうか。
秋田港沖の風力発電はいずれ140MW規模まで拡大されるそう。
これは秋田市に住む世帯をカバーできる程度の規模だ。
地熱と風力。
秋田は地味にSDGsしている。
5.港町
今年、3年ぶりに秋田港にクルーズ船がやって来るそうだ。
県広報には、
・アザラマ・クエスト
・シルバー・ミューズ
の3隻が紹介されていた。
この中でも「ベリッシマ」は17万トン・乗員4,500名の大型客船だそうだ。
5月に秋田港に立ち寄るとの事なので見に行ってみようと思う。
乗船できれば良いな。
因みに「秋田港」とは言っても場所は土崎だ。セリオンのあるところ。つまり「つちざきみなと」。
土崎は港町らしく「港北」なる地名があるが、これ「こうほく」ではなく「みなときた」と読むそうだ。
土崎や秋田港の歴史は意外と古く、658年に阿部比羅夫が越国から180隻の水軍を率いて蝦夷地に遠征し、途中で秋田市周辺に立ち寄ったことが「日本書紀」に記されているそうだ。
また日本海フェリーも出ている。苫小牧まで直通なのだ。
秋田市は港町の一面も持っている。
6.移住について
少し前に「福井県池田町」の移住7ヶ条の掟、とかいう物騒なルールが話題になった。
私も広義の「移住者」の一人だ。妻の実家に引っ越しただけであるが。
地域を跨ぐ移動の場合、生活の不安はつきものだ。
当たり前。何の勝手も分かっていないのだから。
私の場合、出身が大阪であるが故にこちらに知人・友人は殆どいない。
妻の親戚の方々はとても良くしてくださるが、それにしても地元に話し相手がいないのはちと寂しい。これは本音。
ただ、まあなんとかやっていけるのではないかと根拠なく考えている。
あまり深刻に考えても仕方ないし。
先日、自治総会があった。
私達は自治会長に呼ばれて、そこで近隣の皆様には挨拶をさせて頂いた。
妻は義母の名前を紹介し「帰ってきました」と自己紹介した。
これはGOODな挨拶だと感じた。
先の移住7ヶ条の中には、
「どのような地域でも、共同体の中に初顔の方が入ってくれば不安に感じるものであり、どんな人か、何をする人か、どうしてこの街に、と品定めされることは自然です」
との表現があった。
私達は品定めされているのだろうか。嫌な表現だ。
妻は「私、ネイティブですから…」と自己紹介した。
誰でも色眼鏡で見られて愉快な訳が無い。
ナイスであった。
とは言え、妻にとっても秋田は18歳で上京して以来、久し振りに帰ってきた故郷である。
本人は「ここのこと、私に何でも聞かないでね。分かる訳ないじゃん。」と居直っている。
まあ、そりゃそうだ。
実は私達、新参者なのだ。