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オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

2ℓ直4エンジンのスカイラインとは何か

 新型スカイラインに2ℓ直4ターボエンジン仕様が追加されるらしい、との記事を見た。

 「新型」と言っているが、どのメーカーのどの型式の車も、いつも「新型」と呼ばれている。”新”に大きな意味は無い。ポイントは「2ℓ直4ターボエンジン」だ。

 スカイラインに直4エンジンが搭載されるのは21年ぶり、2ℓ直4ターボエンジンであると、31年ぶりだそうだ。

 スポーツカーや自動車レースにあまり興味のない人にとっては、「何のこっちゃ」「だから何?」という印象だろう。上記の仕様追加が、果たしてスカイラインの商品価値をどのように高めるものであるのか、ニュースとしてのエポックは存在するのか、については若干の説明が必要だと思う。

 20〜30年ぶり、と言われると「珍しい」のか、「理由あっての復活」であるか、何か「特別」なことであるのか、と考えてしまう。

 これらについて、メーカー(あるいはニュースソース)からの言及はない。

 我々、消費者に勝手に判断しろ、と言うことらしい。ウンチクについて知りたければ、専門雑誌を買って読め、と言うことだ。随分とサービスが悪い。

 しかし、「20〜30年」と言うとあまりに昔の話になるので、取材している若い記者などは「?」あるいは、一般消費者同様に「だから何?」と思っていてもおかしくない。

 若い人達には、今さら「スカイライン」の歴史を紐解くのも何だかなぁ〜、と忌避されるかもしれない。

 そう、「スカイライン」というブランド自体は、とても古く、さらに言えば「おっさん臭い」。皆が興味を持つとは限らない。

 この話題は、「新型」と言いつつも、既にクラシックな雰囲気が漂っているのだ。

 

・・・

 

 記事をさらに読むと、「スカイライン直列4気筒エンジンが搭載されるのはR32型(1989-93)以来21年ぶり。また2リットルの直4ターボはDR30型(「2000ターボRS」)以来31年ぶりとなる。 」とある。

 つまり言い換えると、下記のようになる。

①21年間、安価で非力なターボなしの2ℓ直4エンジンは ラインナップされていなかった

②ターボ付きの高性能ハイパワーエンジンであれば、何と31年ぶりの「復活」だよ

 

 ①については、「スカイライン」という車の性格付けからくるものだ。

 この車は、昔からスポーツカーとして売られている。

 矛盾しているが、箱形の普通の車なのに「走り」はスポーツカー並み、という色付けがメーカーとしてなされてきたのだ(”羊の皮を被った狼”というキャッチコピーが有名)。

 よって、「安価」で「チープ」な直4エンジンは似つかわしくない、という考え方が売る方にだけでなく、買う方にも存在していた。

 しかしその一方で、ずっと前から直4エンジンのラインナップは存在していた(L型エンジンの頃から)。

 それは、スカイラインシリーズの明らかな廉価版で、「GT」と色分けする為に「TI」という型番が付けられていた。

 「TI」は、トレードマークの丸形ではなく、四角いテールランプを付けていたので、後ろから見れば一目瞭然だった。

 これは見栄っ張りの乗る「恥ずかしいスカイライン」であった。

 だが、一定の需要があったことも歴然たる事実。結構な数が走っていた

(一方で、「GT」であることを隠すため、わざわざ「TI」のテールを付けている人もいた。当時「GT」に乗っていると他のスポーツカーによく絡まれるため、とても面倒だったらしい) 

 

 ②は「FJ20」のことを言っている。このエンジンは81〜84年にスカイラインとシルビアに搭載されたものだ。今から見ると極めて短期間しか製造されていないレアもののエンジン。オールドファンは多い。

 このエンジンは、「レース」のために開発された、と当時は言われていた。日産(NISMO)が、当時のグループAで勝つ為に作った高性能エンジンである、と。

 こちらは、如何にも日産らしくスカイラインらしい発想・コンセプトだ。

 このエンジン、ショートストロークのDOHC4バルブに、インタークーラー付きターボを装着している。間違いなく、当時の市販車としては「最高性能・最強」のエンジンであった(現在のランエボやGTRに匹敵する)。

 乗り心地の良い車を作るのであれば、エンジンは自ずと直列6気筒エンジンとなる。ベンツ、BMWがそのお手本だ。高級車カテゴリに、直4・ショートストローク、高回転エンジンを持ち込むのは、マーケットを無視しており、あり得ない。それはクレイジーだ。

 レースのためだけに特別に作られたエンジン、それがFJ20。だから短命。

 日産の量産型直6エンジンは、L20→RB20が正当な系譜。

(しかし、後継のRB20はブ〜なエンジンで、FJ20を知っている人達からはアンビバボーで最低と言われた)

 

 

 そもそも、スカイラインに直4は不要だった・・・、がある意味で正論であろう。

 さて、新型スカイラインの2ℓ直4ターボエンジンの件。ポイントを纏めてみる。

 

・日産としては、高性能エンジンを搭載した廉価版を作り販売を伸ばしたい

・「客層を拡大」は言い換えると、「貧乏人でも無理すればスカイラインが買える」ということ(昔の"TI"と同じコンセプト)

・ベンツにも搭載されるのでブランド的にはOK。高級エンジンに見える

・でかく重い図体をしているので、2ℓであればターボを付けないと軽自動車に抜かれる恐れがある。過給機は必須

・小排気量+小洒落た過給システムは、今のトレンド(VWが創った)。カッチョ良いはず

・と、言っても、そもそもあのボディに(高級とされる)直6エンジンは縦置きで搭載出来ない(V6エンジンを前提にデザインされているため納まらない)

・2ℓ直4ターボエンジン搭載は、「ライト(軽量化/賢明な)・サインジング」ではなく「苦肉の策」であった

 

 と、なる。少し辛いか・・・

 今後のスカイラインの活躍には期待している。

 しかし、FJ20搭載の”ニューマン・スカイライン”、”鉄仮面スカイライン”には、イメージ、ブランド面で追いつけないと思う。今のスカイラインスカイラインではない。

 あのクルマは、特別だった・・・

 

 スカイラインと言えば、永遠のライバルがいた。「セリカ」だ。

 果たしてトヨタからは「SUPRA」が復活するんだろうか?

 であれば、皆、懐古主義である・・・