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オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

自然に触れるための準備

 先ほど、高校時代の同級生から電話があった。

 秋に同窓会をやるので是非参加しろ、とわざわざ連絡してきてくれたのだ。

 ありがたいことだ。

 これは、大阪まで出掛けて行くしかあるまい。

 

 彼とは、1年生の時に学校主催の鳥取砂丘キャンプに一緒に参加した。

 当時、彼と私はバレー部に所属していたのであるが、夏練習を休んでキャンプに行ったもんだから、後日、先輩から散々嫌みを言われた。

 「練習をさぼって夏キャンプに行ったのはお前らが初めてだ」と。

 フン!

 先輩達には申し訳ないが、大変楽しかったよ。

 あんたは、そういうこと言ってるから女にモテないんだよ・・・

 と、当時は思っていた(関係なかったかもしれない)。

 

 当時、キャンプの準備は結構な時間をかけて行われた。

 7月に入ると、キャンプ参加者は週に何度かのプールでの遊泳を義務付けられた。別に、遠泳をさせられた訳ではない。一定時間、ともかく泳げ、遊べ、と言われた。

 これは、やや泳ぎの苦手な子達に「水に慣れさせる」ことと、肌を焼く事が目的だった。

 この水泳に参加出来ない子は、別段咎められる訳ではないが、キャンプ当日の遊泳時にはTシャツを着て泳ぐ事を先生から指定された。

 日数、時間をかけて泳ぐ事は、火傷防止なのだそうだ。

 今考えると、先生方がキャンプ準備に、相当な手間隙をかけていてくれた事が分かる。

 また、校庭のグランドでテント張りの練習を2〜3回やった記憶がある。当時のテントは、今のように傘をさすように建てるものではない。

 いくつかの鉄柱を組み合わせて骨組みを作り、それをロープで四方に引っ張って支える。ロープの先端は、杭で地面に打ち付けて固定する。

 結構手間がかかる。

 キャンプ場は、海の砂浜に面していて、緩やかな斜面になっていると聞いていた。

 私達は、先生からレクチャーを受けた後、斜面にテントを張る「練習」を行った。

 風がある程度吹いても、倒れないようにテントを張る事は、意外と難しい。雨が降った時のため、テント周りに水路を掘ることも学んだ。

 テント張りは、当然、一人では出来ない。

 だから、グループを組んで、各々で役割・作業分担を明確に決めた。

 各自は、分担を専任で行う事により、作業の質を高めるよう努めた。

 また、持って行く薪も自分たちで切って揃えた(今のようにバーナーや炭は使わない)。

 

 3泊4日のキャンプであったが、今でも楽しかったことを鮮明に記憶している。

 泊まりがけの旅行に行ったのであるが、それはまるで、皆で一つのものを作り上げているような感覚だった。

 自然の中にいる事は楽しい。

 しかし、そのためには用意周到な準備が必要な事、絶対に事故を起こさないためには、さまざまな可能性に留意しておくことが重要であることを身をもって教えられた。

 自分たちに、キャンプの事を丁寧に教えてくれ、ずっと寄り添って下さった先生方には今でも感謝している。

 そう言えば、前回の同窓会では、そのキャンプ指導をして下さったN先生にもお会い出来たのだった。今は、教育委員会におられると言っていた。

 そう言えば、皆で「ハンカチ落とし」をやったときに、女先生のパンツが見えた事を思い出した。白だった・・・

 

・・・・・・

 

 

 昨日、川北町のキャンプ場で事故があった、とのニュースが流れている。

 「川北」というと、どうしても玄倉川での悲劇を思い出す。中州でテントを張っていて、折からの雨で増水した川に10数名が流されたという、あの痛ましい事故だ。

 当時のTVでは、人(複数の家族)が川の濁流に飲み込まれるショッキングな映像が流されていた。

 今考えると、よくもあのようなグロテスクな映像がTVで流せたものだ。

 15年前のことであるが、あの頃の私達は斯様に無神経であったらしい。

 

 中州でテントを張る事はタブーだ。

 事故にあった方には、お気の毒であるが彼らは危険を犯していた。やってはいけないことをやっている。玄倉川の事故にも学んでいない。

 中州を人工的に造成し、そこに客を宿泊をさせたキャンプ場にも責任の一端はあるだろう。

 しかし、キャンプにおける”フツーの常識”が欠如した状態であれば、そこに如何なる事態が発生しようがそれは不思議ではない。

 ”準備が無い”段階で、そもそも、そこは異常な空間なのだから・・・

 

 逆さまになった車を見たが、それは所謂SUVであり、ヘビーデューティなタイプのものではない。

 見て分かるように、履いているタイヤも普通のものだ。

 中州へ車で入ることも非常識であるが、それがランドクルーザーパジェロのようなRV車でないことは、さらに非常識だ。

 SUVとRVは”違う”

 だから、車が流される事もあり得る。

 乗用車で川は渡れないのだ。

 

・・・・・・

 

 毎年のように海・川・山で事故が起きている。

 私の友人で、川で子供を亡くした人がいる。

 人ごととは思えないところがある。

 

 自然に入る時は、相応の準備をしてほしい。