良識の価値
参議院議員定数をめぐる「10増10減」案は、予想通り揉めているようだ。
議員定数を減らされる「鳥取と島根」「徳島と高知」が文句を言いたい事情は理解出来る。
しかし、4.77倍という途方も無い「1票格差」の問題を前に「地方の声が国政に反映されなくなる」との言い訳は、余りに空しい。論理的に空虚だ。
そもそも、参議院議員は地方の声を反映するために存在するのであろうか。
関係者は、「1院制への移行」すら議論がなされる状況下、「地方の声」というような情緒的な意見をもって、「良識の府の存続」という根幹にかかわる深刻な問題を解決できるとでも考えているのだろうか。
究極的には、1県に1人以上の参議院議員をおいた上で、「1票格差」の問題を解決しようとするならば、議員定数を増やすしか方法はない。
それでなくとも、役に立たない、不要な参議院議員をさらに増やすしか、解決策はなくなる。
あるいは、参議院を「全国区」にする選択肢もなくは無いが、そんなことをやってもこの国の政治が進歩・進化する訳では無い。
ただ飯喰らいの役立たずの存在を、ただ持続させるだけだ。
なんとも、不毛な議論だ。
「良識の府」としての役割・存在価値を示せていないにもかかわらず、「定数減」に真っ向から反対する。
その理由に「地方の声」という、生来理由とは関係ない理屈を持ち込む。
反対している関係者は、頭が悪いというよりも、単なるごろつきの集まりなのではないか、と疑いたくなる。
この国では「良識の価値」が無くなりつつある。
これは、必ずしも「政治」のことだけを言っているのではない。