オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

民主党の終焉

 参議院議員選挙は、予想通りの結果で終わった。

 マスコミの事前予想がものの見事に的中していることから、サプライズが無く面白味に欠けたとの感想も聞かれるが、毎回選挙にドラマを求めるのも無理があると思う。

 それよりも、民主党の惨敗に溜飲を下げた有権者が多かったのではないか。

 選挙後の党幹部、落選議員達の弁を聞いていても「真の反省」が聞かれないことからも、今回の審判は正しい投票行動であると皆納得していることと思う。あの人達には物事の「道理」が分からないのだ。

 今朝、NBOを見ていたら「1年前に読まれた記事ランキング」というものが掲載されていた。その中の1位が「増税は公約違反ではありません」〜消費増税のギモン、財務副大臣が全部答えます〜、というもの。

 せっかくなので、URL貼っておきます。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120720/234701/

 

 これは、当時の財務副大臣五十嵐文彦氏が話題になっていた「消費増税」について、NBOのインタビューに応えたものだ。

 この記事に対する反響は凄まじかったようだ。コメント欄を見ると一部を除き、民主党副大臣に対する批判の嵐だ。

 この当時の民主党の「マニフェスト破り」に対する痛烈な批判意見がこれでもか、と並んでいる。NBOの読者層は、ビジネスパーソンが多く、政治・経済に対する一定の見識を持っていると思われるが、その ”良識層” であるかもしれない彼らが、このようにエゲツナく、また口汚く罵るのであるから、その怒りの深さは相当のものである、と、当の副大臣民主党幹部は推察すべきであった。

 しかし、せっかくNBOというメジャーなメディアで、党の主要方針を広くビジネスパーソンに語りかけるチャンスとフィードバックの機会を得たにもかかわらず、それを活かすための知恵を、この残念な人達は持ち合わせていなかったようだ。

 

 私もこの記事は読んだ。

 酷い内容だった。

 その日の昼食時まで胸がムカムカしたのを覚えている。腹が立って、いてもたってもいられなかったのだ。

 ことの当事者である副大臣にこのような居直りをされたのでは国民はたまったものでは無い。本人は、ありのままを理路整然と説明しているつもりなのであろうが、まともな神経の持ち主であれば、読むに耐えられないような内容である。

 この方のロジックは、私のような凡人には到底理解できない。「消費税増税」の必要性は理解できても・・・だ。

 

 結果として民主党は、この人のような人物が党のあちこちにいたからこそ、政党として一つに纏まりきらなかったと言える。このような考え方(屁理屈)は、小沢氏を始めとする旧自民党出身の政治家には耐えられないと思う(旧社会党は消費税そのものに耐えられない)。

 この副大臣はとても ”官僚的” だ。

 一方で、この人の論理は、当時の首相にとっては、かけがいのない心理的基盤であったと思う。そして、「正道を希求する姿勢」や「政治家としての真摯さ」に対して無自覚でなければ、このようなことを正々堂々とは言えないし、マニフェストを踏んづけてまで消費税増税に突進することは出来なかったであろう、と推察する。

 この集団においては屁理屈によって「正義」は踏み躙られるのだ。

 しかし、この記事を読んだ多くの人は、「民主党は終わっている」と感じた筈だ。「もう、これ以上如何なる政策もこの連中に委ねてはいけない」と。

 そして、7月21日の来るべき「審判の日」を迎えた。

 「民主党惨敗」は事前に予測されきっており、当然の帰着であるにもかかわらず、繰り返しになるが、彼らはその「敗因」について、今でも理解できていない。

 だから、「もういらない」のだ。

 「どうやって再生するか」ではなく「再生しなくていい」ということ。誰も彼らの復権・復活を望んではいない。

 これは、「自民党の独占を是とするか」とかいう話ではない。民主党という存在に対しての是非だ。結論は既についている。

 

 小沢、鳩山、菅を追い出すのであれば、創業者はいなくなる。「名実」共に消去する良い機会だ。

 民主党に、労働組合に、政治は「無理筋」だったのだ。

 参議院議員選挙の総括は、私の中ではそれで十分だ。

 この記事に出てくる五十嵐文彦氏は落選した。

 当然だと思うし、これが私達にとっての ”正義” だ。

 ”国民”、”選挙” を舐めてもらっては困る。