「ビブリア古書堂」の視聴率が気になる?
昨日(3/25)、「ビブリア古書堂の事件簿」最終回をリアル(録画ではないという意味)で見た。ラストシーンのヒロインの笑顔がとても印象的だった。私も、あのような人に文豪の作品を教えてもらいたい、と素直に思うおじさんであった。
しかし、「フジTV月9」の最終回視聴率(8.1%)としては、最低であったとのこと。
彼女のアンチ・ファンもいるらしく、ネットでは嬉しそうな感想を呟いている人もいるようだ。
私は楽しく鑑賞させてもらったが、そう思わない人がいるのは別に珍しい事ではない。感想は人それぞれ。賛否両論があって結構でしょう。
しかし、このドラマの評価が世間から見て最低のものであった、かのような言い分には少し異論がある。
初回14.3%、その11〜12%前後の数値を出し続け、最終回が8.1%。
大健闘だと私は思うのであるが、そうではないの?
視聴率と言えば、大河ドラマが10%程度、紅白歌合戦が50%を切る時代だ。フジTVがどのような目標値を持って臨んだ番組であるかは知らないが、バブル期の「月9」リバイバルが来ない事だ、なんて誰だって分かっている筈。
そもそも、その視聴を支えるべき若者達は「バブル期」を知らないし、全く異なる文化、価値観をもった人達だ。当時とマーケットを同列にする事自体が、彼らに対して失礼というものだろう。
ドラマを作る側の人達は、視聴率さえあげればいいのであれば、マーケティングを原点からやり直した方が良いと思う。
一方で、録画、VODが当たり前の時代に、ニールセン辺りが行っている「視聴率」調査をもとに、ヒット番組作りの戦略PDCAを形成しようというのは無理があると思う。今の時代、”リアル”に拘ってTVを見る人ばかりではない。相当数の”タイムシフト派”がいる筈だ。私もそうだ。
「視聴率」がそのコンテンツの価値を全て決めている訳ではない。視聴者の真の「支持率」を見極める為には、番組制作サイドは「視聴率」ではない、新たなモノサシを持つ必要があると思う。
「会社、学校を早く退いて帰ってくる」、「今日はこの番組があるから外出しない」、と視聴者に思わせ、それを実行させ、その結果としてリアルタイム「視聴率」を稼ぐ番組があるとすれば、それは本当に化け物だ。私の経験では「東京ラブストーリー」ぐらいしか存在しない。そんなもの、滅多に作れるものではないだろう。
「視聴率」を取る目的は、番組を見てもらう事だろうか、それともCM(スポンサー)を見てもらう事であろうか?あるいは、その両方か?
そうであれば、制作サイドは「視聴率」以前に、番組作りの方針として遵守するべき基本を多く踏み外している。近年、特に甚だしい。
・バラエティーにおいて、面白さを求める故に「ハラスメント」まがいのことをする
・モザイクや疑似音を入れて画像・音声を著しく汚染する
・やたらと出演者の顔を小さな画面に突っ込んで合わせ表示(PinP)する
・途中でCMを入れてじらす(引っ張る)
・訳の分からん”自腹”を強要する(ウソだと思うけど)
・バラエティに俳優が出演すれば、100%番宣
これらの、振る舞いは私にとっては”白け”を通り越してストレスにすらなる。不快で気持ち悪くなる。よって、途中でTVを消してしまうことも2年前の3.11からはしばしばある。
つまらんものを見ているくらいなら「節電」だ。
昨日も「帰れま10」を途中で消した。あの番組、本当は好きなんだけどね。いきなり違う話に切り替わったのでTVを「OFF」にした。
これは、本来であればCMを見ていたはずの視聴者を失っている事になり、スポンサーから見ればとんでもない事だ。そんなこと、「視聴率」からは分からないけどね。
私はCMを見て感化され、思わず商品を買ってしまうアホな消費者の一人である(自覚している)から、同様に影響を推測すればスポンサーの潜在損失は計り知れないと思う。
制作サイドは、いいかげんに、従来の惰性に流された仕事のやり方(番組作り)や、意味の無い本質から外れた演出を止めて、真面目なコンテンツ作りに回帰すべきだと思う。
今のコンテンツが如何に醜悪で醜く、みっともない画像になっているかを実感するには、一度、バラエティ番組の音声を「OFF」して、視聴してみればいい。
大半の人は、5分も耐えられないと思う。
それほど、絵だけ見てると醜いものだ。
プロたるもの、自らの創造物にはプライドを持ってもらいたい。
つまらない”惰性”を生んだのは、「視聴率と制作費の削減」だという居直った言い訳をこく評論家や業界人もいる。
しかし、あの業界の人達が、今後将来に渡り、自ら「メディア」(笑っちゃいますけど・・・)と名乗り、特権階級でいたいのであれば、Principleを再構築した方がいいと思う。あんたら、相当下品だよ・・・
「ビブリア古書堂」の視聴率を気にしている場合ではない、と人ごとながら思うのだが・・・