オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

燃えきらない大河ドラマ

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」が不振なのだそうだ。

 これまでの平均視聴率が13%程度。直近では、10.7%とのこと。

 最近の大河ドラマの大ヒット作(民放のドラマに比べればいつも普通にヒットしている)と言えば、「篤姫」であろうが、この番組の平均視聴率は24.4%、「龍馬伝」で18.7%だったらしい。

 TVにかじりつく人が激減している昨近、2桁の視聴率を挙げるだけで十分評価できると私は考えているのであるが、10%程度の数値では「大河ドラマ」としては成果に値しない、と業界人は考えているようだ。

 業界の皆さん、随分とNHKのポテンシャルを評価していらっしゃる。あるいは、単なる民放のやっかみかもしれないが。

 私は、今の所、毎週楽しみにしている。

 井上真央さんがイイから、というだけであるが。

 

 私としても、「花燃ゆ」のこれまでのストーリー展開には満足出来ていない。

 その理由、

吉田松陰が単なる過激なバカに見える

松下村塾の塾生に見るべきものがない。やはり、単なるバカ集団に見える

久坂玄瑞が全く優秀に見えない

高杉晋作がフツー過ぎる。天才の片鱗も伺えない

 

 と、これだけ挙げただけで、このドラマが維新の偉業を達成した人達の功績を描ききれていないことが十分に理解出来る。

 私としては、高杉晋作の描き方がチョー不満だ。

 この人は、まさに天才である。

 木戸孝允山県有朋伊藤博文の功績は、この人が存在したからこそ。

 長州藩を「倒幕」に向かわせたのは、高杉晋作なのだ。そして、どちらかといえば、身分の高い武家であったのに、民兵の軍隊「奇兵隊」を組織し、奇跡の戦いを演出したのも彼。彼のドラスティックな藩改革があったからこそ、薩長の討幕運動は成し遂げられた。

 なのに、肝心要の高杉晋作の存在感が殆ど感じられない。

 ストーリーの中心は、吉田松陰なのだ、と言うのであれば、彼の思想をもっと丁寧に描いてほしい。今のままでは、彼は単なる「攘夷思想」、「外人嫌い」にしか見えない。松下村塾の求心力、存在感もストーリー的に薄過ぎる。

 また、松蔭役の伊勢谷さんは「龍馬伝」では、高杉晋作を演じていらした。このキャスティングも被って見えて不満だ。

 

 と、纏めてみれば、「大したドラマではない」ことが現実なのかもしれない。

 振り返ってみれば、「篤姫」以降、大河ドラマを最後まで見たのは「龍馬伝」だけ。

 これも、最終回が不満だった。

 「江」「平清盛」「八重の桜」は、アホらしくなって最後まで見ることは無かった。

 このままでは、「花燃ゆ」もそうなるかも…だ。

 

 それでも、オープングや音楽は気に入っている。

 「功名が辻」のオープングも好きだったが、それ以来だ。

 最近のNHKドラマは、「美術」も素晴らしい…

 

 後半にかけて、このドラマは、果たして燃えきることができるのだろうか。

 

 

高杉晋作を堪能するのであれば、司馬遼太郎作「世に棲む日日」をお勧めする。NHKは、これを原作に蒼天の夢』というタイトルで吉田松陰を描いたドラマを制作している。高杉晋作役は野村萬斎さん。これもお気に入り…