オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

Bon Voyage

0.4

0.4+0.3=0.7

0.4+0.3×2=1.0

0.4+0.3 ×2×2=1.6

0.4+0.3 ×2×2×2=2.8

0.4+0.3 ×2×2×2×2=5.2

0.4+0.3 ×2×2×2×2×2=10.0

 

 これをチチウス・ボーデの法則と呼ぶ。

 何の事かというと、上から3行目の1.0が太陽と地球の距離。およそ、1.5億Km。1天文単位とも言う。

 0.4、0.7は各々、水星、金星と太陽間の距離を表している。

 1.6は火星、5.2は木星、10.0は土星の太陽との距離とほぼ一致する。

 この不思議な数列は、1772年頃ボーデにより紹介されたと言う。天空を自由に移動する惑星達がこのシンプルな数式に支配されているのであれば、誠に不思議な事だ。

 宇宙には、人知を超えた調和が存在する、そう考える人達がでてくることも頷ける。

 しかし、その調和はまだ証明されていない。アインシュタインの「統一場理論」も完成を見る事は無かった。

 

 2.8の存在が欠けている。

 実はここに惑星は存在しない。

 

 時は、1801年1月1日、まさに19世紀最初の日。

 シシリー島、パレモ天文台のピアジという天文学者が2.8天文単位の位置に、惑星らしきものを発見する。これは、今で言う「矮惑星」だった。「ケレス」と名付けられた。

 この「ケレス」には多数の仲間がいた。あまりに多くの矮惑星がこの空間に存在するため、やがてこの領域は「アステロイド・ベルト」(小惑星帯)と呼ばれるようになった。

 ボーデの数式には欠陥がある、誰もが最初はそう受け止めた。隙間のある理論。単なる数字合わせ。ごく一部分だけの偶然の産物と、揶揄する意見もあったがこの数式の隙間は見事に補完された。

 

 一方、隙間が埋められる以前から、この数式に注目し、興奮し、大騒ぎしてる関係者もいた。

 何故か?

 0.4+0.3 ×2×2×2×2×2×2=19.6 の位置に ”何か” が存在するのではないか?という予測と期待があったからだ。

 古来、惑星は水、金、火、木、土の5つで構成されていた。これに、新しいものが加えられる可能性が出て来たのだ。

 これは、太陽系の拡大であり、大いなる世界観の変革でもあった。

 彼らは、観測隊まで組織し、持てる全ての英知を結集し未知の惑星を探し続けた。

 「ここに、何かがあるはずだ」と。

 

 そして、その ”何か” は存在した。そして、その背後にはもう一つの ”何か” が存在していた。

 「天王星」を発見したのは、ハーシェル。1781年に発見。

 星の数をかぞえ、銀河系の全体像を予測した偉大な天文学者

 もう一つの ”何か” はその約60年後、1846年にローウェルに発見される。海の神の名をとり「海王星」(Neptune)と命名される。

 因に、海王星の探索根拠には、ボーデの数式に加え、天王星の軌道の ”ゆらぎ” があった。

 2惑星間の万有引力存在の可能性が、この途方も無い探索行動と画期的な新惑星発見の快挙を成し遂げさせた。

 これにより、「太陽系」は古代バビロニアの時代から旧知であった5惑星から7惑星に、広さ(太陽との距離)は3倍になった。

 「太陽系」は、町内会や県のようにどこかに明確な「境界」が存在し、はっきりと他のものと区別されているものではない。

 そして、過去からその線引きは、惑星、天体の発見の都度、変更されて来た。よって、その定義は「太陽の影響(太陽風、引力)を受けている範囲」ということにするしかない。

 宇宙空間に存在する物質は、全体量の約4%。残りの96%は物理的な存在として認知されていない。つまり、概念上は「何も無い」ということになる(ダークマターは観測されていない)。

 例え「太陽系」の ”果て”、Edgeが存在しても、恐らくそこには何も存在しないだろう。

 

 太陽系の主に外惑星の探査を目的にボイジャーは打ち上げられた。1977年のことである。

 今も彼は ”無の空間” を飛んでいる。

 彼は、これからどこを目指すのだろうか・・・

 

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 StarTrekでは、ボイジャーは知的生命体に進化し、400年後に太陽系に戻って来ている。

 400年後、私達は恒星間飛行を可能とし、「ボイジャー回収プロジェクト」を進める事が出来ているだろうか。

 私達は、正しく、科学、叡智を進化させる事が出来ているだろうか・・・ 

 Bon Voyage、Voyager.

 

 

 

 

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