「WINDOWS8とお幸せにね」・・・Vistaより
WINDOWS XPのサポート切れが近づいて来ている。
しかし、年末時点でのXPインストールPC数は、少なく見積もっても1000万台以上存在するとの事。企業の正規雇用者数が3300万人程度と考えた場合、XPの生存率の高さには驚き、また呆れるしか無い。
今後もXPを継続して利用する事のリスクについては、あちこちで警告がなされており、関係者がそれを関知していないとは思わないが、今となっては期限までのXP駆逐は極めて困難と考えざるを得ない。
”駆逐”という言葉を用いたのは、もちろん皮肉の意味を込めてだ。XPに罪はない。
それどころか、この「駆逐・掃討作戦」が必要なった理由の一つは、XP自体が色々な意味で「有能なOS」であったからだ。
ご存知のようにマイクロソフトのOSは、4〜5年の期間で新しいバージョンのものに刷新される。WINDOWSは「業界標準」のOSであるため、それを利用している企業・個人の多くは、有用性の有無にかかわらず、いずれその新しいバージョンのOSに交換せざるを得ない。決して安価とは言えないお金を払って。
交換せざるを得ない理由は、いずれサポートが打ち切られた場合、脆弱性対策ができなくなり、常にウィルス感染等のリスクに晒される危険極まりない状態になってしまうからだ。
バージョンアップにも良い面は当然ある。少しだけ・・・。そして、それが問題。
XPがこれだけ多く生息しているのは、この技術革新の激しい業界の中でその「資質」が評価されていると言うことに他ならない。
彼女(XP)は、技術的に未だ優れており、まだまだ「使える」から使用されているのだ。言い方を変えればそれで十分だからだ。
「十分」とは、Officeが使えインターネット/メールが利用出来る、ということに尽きる。多くの企業人、一般人にとってのPC利用法がそうであるということだ。
世の中、マニアだけで構成されている訳ではない。
話は逸れるが、大企業の多くでは、PCの利用方法は「セキュリティポリシー」で強く規制されている。まともな企業であれば、業務時間中に2chに書き込みをしたり、エロサイト画像を閲覧することなどできない。
ゲームも無理(もし、シンクライアントを利用しているのであれば、アプリのインストールすらできない)。
つまり、そもそも、ビジネスシーンにおけるPC利用法は「開発現場」を除けば、以前から極めて限定的であったとも言えるのだ。これもXPを存続させた事情の一つだと思う。
想像するに、官公庁、自治体等にXPが多く残っているのではないだろうか。上記の事情に当てはまり易い業務環境だと推測する。他は中小企業、零細企業。これらは、予算の関係も無視出来ないだろう。
以前も書いたが、我家でもXPを2012年末まで使っていた。彼女は「これで十分。少し遅いけど」と言って愛用していた。
XPの主な美点を挙げてみる。
・立ち上げがスムーズ
(WINDOWS2000は耐えられない)
・メモリ増設をすると見違える程「早く」なる
(WINDOWS2000はそうでもない)
・コンベンショナルメモリの制約が無いため、アプリを増やしたり、負荷をかけてもハングアップすることが少ない
(WINDOWS2000はヨタヨタと動く/WINDOWS Meは昇天する)
・操作性が大きく改善されている
・WINDOWS2000、WINDOWS98/Meの両方と一定の互換性がある
(企業でXPが使われている理由の多くはここにあると思う)
・利用者には分からないが、セキュリティが堅牢(ホントか?)
・イケてる業務ソフトOfficeXPがある
XPが生き残った技術的理由として「コンベンショナルメモリからの解放」は大きいと思う。
このことがXPのOSとしての立場を確立し、全世界の利用者に「利用技術の革新」という面で多大なる恩恵をもたらしたと言える。
マイクロソフトの覇権は、このOSで絶対的なものとなり、そして「貢献」 はこの段階で終わった。
その後の進歩を否定はしない。しかし、その後の進化・進歩がユーザー目線で「必須」の機能であったかと言えば、そうとまでは言えないだろう。
提供者側の勝手な思い込み、押しつけが最もよく具現化されたのが、WINDOWS Vistaだ。
このOSが示したプロダクトアウトのレベルは半端ではない。
・ハードウェアに相当のハイスペックを要求する
・デバイスドライバの互換性が「殆ど」と言っていい程無い
・立ち上げだけでなく、通常動作が極めて重い
・かといって、セキュリティが堅牢な訳ではなかった
・最悪の操作性(とにかくOSが色々と聞いてきてウザイ)
XPからVistaにアップデートした多くのMSユーザは、ハード/ソフトに多大な散財をしながらも、これまでの平凡であるが幸福であった暮らしを捨て、醜悪な厚化粧の性悪女と毎日を暮らすはめになるという、まさに悪夢を見るような事態を迎えてしまった。
私もその悪夢を見た一人。
Vistaの悪女ぶりはあっという間に全世界のMSユーザの知るところとなった。
やがて、Vistaは誰からも相手にされなくなった。
見捨てられた・・・。
XPを手元に残したユーザには、それ相応の理由が存在することになった。
-----------------------------------------
年賀状を作る為にWINDOWS8対応の年賀状作成ソフトを今回新たに購入した。
ともかく、今年の年賀状作成は無事終わった。
しかし、購入したソフトの動作がおかしい。印刷動作が途中で停止したり、意図しないページから印刷したりと、誤動作する。
PCのOSを入れ換えた。しかし、
・年賀状作成ソフトを新規購入せざるを得なかった
・それは以前のものよりも安定性が低い
これが、WINDOWS VistaからWINDOWS8へのバージョンアップによって、我家に起きた変化。
他に報告できそうなメリットらしきものは、今のところ無い。
これでは、何の為のバージョンアップなのか・・・、と思う。
話は戻り、世間では、
・まもなくXPがサポート停止になる
・XPを使い続けることは、どんでもなく危険なことだ
・だから早く新しいOSに切替えろ!
と、ほどほどの騒ぎになりつつある。
行き着くところは、要するにOSの脆弱性対策のために、XPを諦めざるを得ないという事。
果たして、マイクロソフトという会社は、セキュリティホールの存在しないOSを開発する能力が無いのだろうか、と疑いたくなる。
バージョンアップすれば、現行アプリの多くは、新OSでは動作しないだろう。
果たして、XPユーザは真なるメリットを享受出来るだろうか。
XPからVistaへの乗り換えは悪夢だった。しかし、
「WINDOWS8となら幸せになれる」とは言い切れない。