オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

ダーティーハリーと女性刑事、そして日本

 ハリウッド映画でUSAの正義(感)を描いた作品は数多くある。

 オリバーストーン監督の「JFK」は、一般受けはしないかもしれないが、USAの骨太な正義・公正への理念・決意を表している代表作であると思っている。

 上映時間は極めて長く、ある意味で退屈な映画ではあるが、私は凄く好きだ。

 

 「正義」を描いた70年代の代表作として、「ダーティーハリー」があげられると思う。ご存知、クリント・イーストウッド主演のものだ。

 この刑事映画が日本のTVドラマに与えた影響は大きい。

 計5作が制作されたが、パート3はその中でも異色の作品だ。

 理由は、相棒が女性刑事であること。

 ムーア刑事という。

 彼女、秀才なのであるが、軽犯罪を含めても犯人の逮捕歴がないという、所謂「事務屋」だ。

 サンフランシスコ市長の方針により、「女性の活用政策」の一環により刑事に抜擢された。

 相棒を凶悪なテロリストに奪われたハリーは、左遷された人事課から殺人課に復帰する条件として所長から無理矢理彼女を押しつけられる。

 「marvelous…」

 この映画の中で何度かハリーが呟く言葉だ。

 彼女の素人の振る舞いを見たハリーが「やれやれ」とか「泣けるぜ」と言うのだ。

 最初は、ドタバタ続きのムーア刑事であったが、その意志の強さ、真面目さ、ひたむきさから、やがてハリーも彼女に信頼を寄せるようになる。

 彼女はこのストーリーの中で、何と2度もハリーの命を救っている。このような頼もしい相棒はシリーズでは彼女一人である。

 しかし、2度目、ハリーの命を救った彼女は、ハリーの身代わりにマシンガンで体を撃ち抜かれ殉職する。

 彼女は、懐抱しようとするハリーの顔に手をやり、

「私は大丈夫…、犯人を捕まえて…」と言い、息を引き取る。

 テロリストを退治し市長を無事救出したハリーは、市長の感謝の言葉を聞くこともなく、ムーア刑事の亡骸に歩み寄る。

 それが映画のラストだ・・・

 

 「女性の社会進出」

 「全米初の女性殺人課刑事」

 ”女性の活躍” というアイコンに利用された彼女は、結果として「USAの正義」、「ハリーの正義」のために自らの命を捧げることになる。

 とても残念な結末だった。

 ハリーの信頼と感謝を最期に実感できたことが彼女にとって救いであり、本望であったと想像する。

 

・・・・・・・

 

 日本の総理は「女性が輝く日本」をスローガンにしているらしい。

「育児休業3年」

「待機児童を5年でゼロ」

「上場企業に女性役員を1人」

 

 ・・・色んなことを吹聴している。

 言うのは勝手であるが、当の女性達からの評判はあまり芳しくないようだ。

 そりゃ、そうだろう。

 真面目に考えて発案しているとは到底思えない。

 「ダーティハリー3」(The Enforcer)は、1976年の作品だ。総理もこの40年前のハリウッド映画を見て、その頃のUSAが女性の登用について、何を、どのように考えていたのかを復習してほしい。

 お手本の国だって最初から完璧であった訳では無い。

 

 あの国では、今度こそ女性大統領が誕生するかも知れない。

 真似するなら、まず、あなたが退き、小池百合子さん辺りを後継にしてみては如何か?

 

 あなたに「女性の活躍」について見識があるとは、どうしても信じられない。