Repair か Renew か…
年末年始不具合の2点目。
年末恒例の年賀状作りの際、ブラザー製カラープリンターの印刷が正常では無いことに気づいた。
テストプリントをしてみると、印刷は綺麗に出来ているのだが、全体の色合いが明らかにおかしいのだ。全体的に暗い。
黒っぽいと言うよりも、茶色っぽい。いや、紫か…。
メンテナンスモードでヘッドのクリーニングをやってみる。結果は同じ。
メンテナンスモードで印刷の色相チェックをやってみる。すると、シアン・マゼンタ・イエローの中で、イエローだけ印刷がおかしい。
イエローではなく、黄緑っぽくなっていた。
こんな現象、初めて見た。
まさか、と思いインクカートリッジを確認して見たが、ちゃんとイエローのものがセットされていた。いや、そもそも黄緑色のカートリッジなど「無い」。こんな色がここから出てくる訳がない。
念のため、イエローのインクカートリッジを新品に交換してテストプリントしてみた。
結果は、同じ。本来黄色の印刷部分が見事に黄緑になっている。
数度のヘッドクリーニングを試してみたが一向に効果がなく、改善が見られない。
妻がそばに寄ってきた。
「何かおかしい?」
「うん、こんな感じに印刷される」
「変ね。この間、私が年賀状を作った時は何ともなかったよ。ほら、これ」
妻の作った年賀状のサンプルを見たが別段異常は無い。綺麗にプリント出来ている。
「私が何か変な設定やった?」
「いや、むしろ、どうやれば黄色を緑色に変えることが出来るのかが知りたいくらい。」
「寿命?」
「う〜ん、確か4年前の同じ年末に買ったんだよ。そん時もプリンタの調子がすこぶる悪くて。寿命にしては早いよね。」
以前、エプソンのカラープリンターを使っていたことがあるが、これは何年か使っていてるうちに、印字がかすれてきた。明らかにヘッドの摩耗を想像させる現象だった。
この時は、諦めてキャノンのプリンタに買い替えた。
そして、4年前にインク代の安いブラザー製に買い替えたのだった。
印刷品質はエプソンが一番いい感じがするが、私にはこれで十分。妻から印刷品質についてクレームが出たら、その時はチャンスだからグレードの高いものに買い換えようと以前から企んでいる。
「買い換える?」
「うん。ダメならね。でも、勿体無いからもう少しあがいてみる。」
私が使うプリンタは、大体2万円前後のものだ。それ以上、高価なものは不要。
一方、年賀状さえ作成できれば良いのであれば、スキャナーが付いていない安価な価格帯のものを買い求める手段もあるが、それらにはスマホ連携機能が付いていない。
スマホ連携機能は、妻が利用しているため我が家では「必須」だ。
この機能は素晴らしい。
妻はスマホを使って、ホイホイと綺麗な年賀状を作っている。ソフトも無料らしい。毎年のように「筆まめ」を買い替えている私はバカみたいだ。
さて、買い換えるにしても2万円は笑って出せるものでは無い。ある程度の対策をした結果とだとして、心に諦めをつけておきたい。
まずは、プリンターのファームウェアを最新にUPDATE。効果なし。
プリンタードライバーを削除し、再インストール。ダメ。
プリンタ関連のソフトウエアのアンインストール後、最新版を再インストール。テストプリントしてみる。
やはりダメ。
「これまでか…」
傷心・立腹し、私は2〜3日、年賀状作りをほったらかしていた。
ある日、思いたち、ブラザーのカストマーセンターに電話をした。
結構、待たされたが、やがてオペレーター(OP)のお姉さんが出てくれた。
色々と事情を説明し原因と考えられる対策を聞く。
OPお姉さんの指示。
「お隣の青いヘッドの染料が混じってしまっている可能性がある。ヘッドクリーニングを「最強モード」で数回やってみること。」
結果は同じ。
「申し訳ございません。この後は、修理をお勧めするしかございません。」
「センドバックで修理費はいくらぐらいになりますか?」
「往復の送料を含めて14000円でご案内させていただいてます。」
「もう少し足したら、おたくの新製品が買えるね。」
「その通りですね。誠に申し訳ございません(クスッ!)」
「…(笑ってる場合じゃねぇ!)。ウ〜ン。」
「如何なさいますか?」
「少し、考えます。どうもありがとう。」
私は、電話を切った。納得はしていなかった。
だって、モノクロ印刷は全く問題なく印刷品質もOKなのだから。捨てるには惜しい(買い替えも同じこと)。勿体無い。
考えた挙句、このプリンターは家に残したまま、別途新品を調達することにした。出来る限り、安価でスマホ連携できるヤツを。
スマホ連携機能は必須なのだ。私は使わないけど…。因みに、私は携帯は所有していない。
間もなく、妻がやってきた。
「ブラザーへの電話はどうだった?」
「ダメだって。」
「修理する?」
「締めて14000円だって。新しいのを買うよ。」
「これ、使ってみて。アマゾンで見つけたの。クリーニング用のカートリッジだって。これで治ったこともあるってネットに出てた。」
「へえ、やってみるよ。」
もちろん、純正品にそのようなものは無い。どこか知らない所の製品だった。
妻は4色揃えで購入したようであるが、その中のイエローを使ってヘッドクリーニングしてみた。
そして、テストプリント。
おや?少し、黄色が出てきている!
何度かクリーニングをしたらイエローの印刷は復活した。
「どう?」
「スゲェ、治った!」
「やったー、良かったね。」
今回は、妻の大手柄である。
年賀状印刷は無事完了した。
これが、2つ目の不具合の顛末。
ブラザーのお姉さんを責める気は無い。対応が悪い訳では無かった。
しかし、今回の不具合は以前のように「持ち込み修理」の時代であれば、解決出来た事象であると思う。何もわざわざ、新品を購入するまでも無い事だった。結果論であるが。
似たような現象に悩み、落胆し、そして怒りの末、新製品を購入している消費者って、一体何人いるのだろうか。
メーカーに悪意が無いにせよ、一定のメンテナンスをしていないと品質を維持できない「プリンター」という製品を、電話あるいはメール受付のような、対面ではないお客様サポートの形態で提供し続けることって、果たして正しい姿なのだろうか。
毎年、私のような体験の結果、少しの手間で性能回復できる機器たちが廃品として処理されていないのだろうか。
だとすれば、相当に勿体無いことだ。
前回書いたが、望遠鏡は廃品の運命から救済された。今回、このカラープリンターも然り。
しかし、いつも、リペアの可能性がある製品たちが救われているかは定かではない。