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オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

フランスと仲良くしては如何か

 レインボウ(リッチー・ブラックモア)のサードアルバムに「Kill the king」という曲がある。「王を殺せ」という物騒なタイトルであるが、その演奏内容も凄い。

 曲全体の構成や雰囲気が独特であり、Deep Purpleの頃とは作風が明らかに異なる、しかしRainbowらしいハードナンバーだ。

 当時、「ふ〜ん、リッチーはこんな曲をやりたかったのか〜」と思ったものだが、正直、Deep Purpleのままでも良かったのに、とも考えたりしていた。

 しかし、この大作を含むサードアルバムは商業的には成功とは言えなかったようだ。肝心のUSAでの売上がパッとしなかったためだ。

 失敗の原因は、ある評論家が言うには「今更、王を殺せ!って時代でもないでしょう」

 「(完全否定)・・・」

 確かに・・・。USAの人達には馴染まないかも。

 でも、”王”って誰なんだろう?

 まさか、イングランド王ではないだろうし。そんな、曲作ったら母国で世間の袋叩きにあうに違いない。

 要するに、ギター演奏は素晴らしかったのであるが、何が言いたいのか、さっぱり分からない曲だった。しかし、今でも彼の代表作の一つだ。

 私は、「Eyes Of The World」の方が好きだけど。

 

 物騒な事であるが、この曲にあるように、近年、「王を殺した」事って、世界史であったのだろうか。

 やはり、最初に思い当たるのは ”フランス革命”か。

 ルイ16世マリー・アントワネットはギロチン送りになっているので、この革命はまさしく「王を殺した」ものだ。

 他にも、ロシア革命というのがあったが、ロマノフ王朝の人達ってどうなったんだろう。「ゴルゴ13」で読んだ記憶があるが、王様がどうなったのか知らない。

 フランス革命は、その後の自由主義、民主主義の社会形成の大きな先駆けとなった。フランスの政治体制・思想は、その後、多くの国にとって見本となった。日本にとっても然り。

 

 フランスという国は、芸術の国であり、美食の国であり、農業の国であり、技術力の国、観光の国だ。

 「技術力」の代表例は、ロケットやミサイルの技術。

 最近、H2Bイプシロンを始めとする国産ロケットの打ち上げが少なからず注目されている。これらの所謂「商業ロケット」の欧州における主要コンペチタは「アリアン」だ。これ、フランス製。フランスは以前から商業ロケットのリーダーだ。

 また、フォークランド紛争において、イギリス駆逐艦を撃沈した「エグゾセミサイル」もフランス製。フランスは武器輸出、「死の商人」としても先進国だ。

 また、JUDOへの造形が深く、何故か日本のアニメファンが多いと聞く。日本人がフランスに憧れを持つのは理解できるが、フランス人にアニメファンがいるというのは意外だ。

 徳川慶喜が行った軍政改革は、フランス式軍隊を取り入れる事であったらしいが、日本とフランスは、100年以上前から相性が良かったのかも知れない。

 

 フランスは、先進国の中では数少ない「出生率」の改善に成功した事例を持つという。

 フランスでは、事実婚が多く、結婚という形式・契約への拘りが希薄らしい。

 子供は、非嫡出児であっても、社会保障に差異は無いとの事。まさに「子供は社会が育てる」という政策を実践している国だ。

 同性愛やゲイというマイノリティに対しても社会は寛容だと聞く。

 昨年、ドイツに行った際、ドゴール空港を経由したが、現地で手をつないだり肩を抱き合う男同士を何組か見て、私はドン引きしたものだ。

 当地ではごく普通の光景らしいが。

 この国は「移民」を積極的に受け入れている。

 オリンピックを見れば分かるが、フランス選手団は、USAと同様、多種の民族で構成されており、国の政策や枠組みの一端を感じさせる。

 また、フランスは共和制をとっているが、労働者階級が強い権利意識を持ち、社会制度を営々と築いて来た歴史がある。

 労働時間が先進国の中でも極めて短い事で知られる。

 バブル時代、日本の年間労働時間は2200時間と言われていた。

 USAが1900時間とか言っていたと思うが、その頃のフランスの労働時間は1600時間と言われた。これは、当時のドイツのそれ(1800時間)よりも圧倒的に短い。

 恐らくイタリアと良い勝負?

 正確なところは知らないが、フランスの人達があまり多くの時間を仕事に費やさないことは間違いないようだ。

 大統領を見れば分かるように、何よりも家族(愛人含む?)を大切にするお国柄なのだろう。

 労働組合も強い。この国で一旦ストが発生すると、とんでもない規模になる。

 

 先日、読売新聞に「仏、学校5日制で世論まっぷたつ」という記事が出ていた。

 何のことかと読んでみると、フランスでは現在、小学校は土日に加えて水曜日が休校日なのだそうだ。

 そもそもは、水曜日と日曜日が学校休みであったらしいが、サルコジさんが「家族と一緒にいる時間を増やす」との名目で、土曜日も休みにしたらしい。

 おかげさまで、フランスにも「ゆとり教育」が出来上がり、日本と同様に様々な課題が指摘されていたらしい。

 政府提案の「水曜日を登校日とする」を良しとするか否か、でフランスの世論は二分されているらしい。

 ここでも、フランスと日本の意外な親和性が発現された訳だ。

 近代における社会革命を実現し、民主主義の枠組みを形成、その後も政治的リーダーシップを発揮し続けている国、フランス。

 シリア情勢を含めた中東問題では、政治的な負の側面をも併せ持つことを再認識させられたが、この国とイングランド、ドイツが今後も国際政治の場で、世界秩序を形成する為のイニシアチブを発揮し続けることは間違いない。

 お下品な大統領もおられたが、やはりこの国の発言力、存在感は大きい。

 せっかく、サブカルチャーで価値観を共有できるのだから、この国とは信頼関係をさらに発展させていくべきだと思う。

 USAは、アラブの話になった途端、ジャイアン化するのでアテにならないし、すべきではない。

 こちらが想うほど、相手が私達のことを理解しているとは限らないし・・・